自分の事件は報道されてしまうのか!?事件発覚の防止
-マスコミ報道について

報道されたがために人生を狂わされた、
あるサラリーマンの悲劇

金曜日に逮捕されたが拘留されなかったので、会社を休むことはなかった。
2日間の病欠のみで済んでいた。

それなのに・・・
報道されてしまったがために、
会社を首になってしまった!!

冤罪なのに、「痴漢容疑者」として近所から白い目で見られている!!冤罪が証明されたのに、閑職に左遷された!痴漢・盗撮・万引き・・・世の中にはありふれた犯罪行為。
何が報道されて、何が報道されないのでしょうか?
芸能人・スポーツ選手・政治家などの方は疑いをかけられるだけでも致命的。
さて、どこがポイントなのかを見てみましょう。

※朝日新聞事件報道小委員会著「事件の取材と報道2012」(朝日新聞出版)を参照しています。同書は、報道機関自らが事件報道の原則について書面で明らかにしたもので、一般に入手できるほぼ唯一といっていい貴重な資料です。本稿は同書を適宜引用することで、マスコミの事件報道の基準を理解する一助にしています。
もちろん一報道機関である朝日新聞社の基準であり、他社の基準は一律に同様ではありません。全国紙で掲載ハードルが低いと言われている新聞も複数あります。

参考

刑事事件で、捜査当局が犯罪の容疑があるとして捜査の対象にしている者については、「被疑者」と呼称しますが、新聞では「容疑者」とするようです。
また、刑事事件において、起訴後は「被疑者」から「被告人」に呼称が代わります。ただし、新聞では、「被告人」ではなく「被告」の呼称を用いているようです。

マスコミ報道の仕組み

マスコミ報道の流れはおおむね以下のとおりです

マスコミ報道の流れ

警察が記者クラブに発表することを許されている根拠については、国家公安委員会が定める規則、犯罪捜査規範25条が、事件について報道機関に発表を行う権限を、「各県警察本部長、捜査本部長またはその指定する者」に与えているからです。
この一連の流れが事件発生から翌日の朝刊が発行されるまでの間に行われます。

週刊誌を発行する出版社は記者クラブに加盟していないので、警察広報から情報をもらえません。そのため、重要事件で週刊誌が取材する場合は、まず全国紙記者に取材をすることもあります。全国紙では書けない内容でも、週刊誌であれば記事にできることもあります。

報道のタイミング

報道されるタイミングとして最も可能性が高いのは逮捕の時です。
「●したとして、●署は●日、●を逮捕した。」という文章で始まるもので、「逮捕原稿」と呼ばれます。

逮捕時に報道されない場合は通常、そのまま報道されない可能性が高いです。

逮捕直後でなければ事件としての鮮度は落ちてしまいますので、掲載がされにくくなるのです。しかし他に重要な事件がなく紙面を割くことができるような場合や、事件の関係者に芸能人・政治家等のネームバリューがある場合には、例外的に逮捕直後でなくとも報道されることがあります。
逆に、逮捕時に重要事件として報道されてもその後の事情により続報が報道されなくなる場合もあります。後から被疑者に精神疾患があることが分かった場合などです。
通常のニュースソースは警察発表です。しかし、事件について警察の広報担当から知らされる場合でなくとも、記者の知り合いが事件関係者であったり、被害者がマスコミにリークしたりして、逮捕から時間が経ってからマスコミが事件を把握することもあります。その場合に報道価値がある事件とマスコミが判断すれば、タイミングに関係なく報道されることになります。

事件報道は実名が原則

事件報道は実名が原則とされています

理由①基本要素

「社会で何が起きているのか」という関心に応えるには、いつ、どこで、だれが、なぜ、どのように、何をしたという「5W1H」のニュースの基本要素が欠かせないというのが、マスコミの言い分です。
社会生活を脅かす犯罪や不正をした犯罪者など、事件の当事者が「だれ」なのかは、何をしたのかという内容とともに最も重要な関心事だとされています。

理由②真実性の担保

実名は取材の出発点であり、報道に真実性を担保する重要な手掛かりともなるということも、実名報道の根拠です。実名をもとに取材した結果、発表内容と実際に確認された事実の食い違いに気付く場合もあるということです。

理由③匿名による混乱防止

匿名報道は、地域社会や特定の人たちの間で「犯人捜し」や「疑心暗鬼」が広がるなどの無用な混乱を招く場合もあります。
インターネットなどの情報が加味されて事実がゆがんだ形で伝わってしまう恐れもあります。新聞の実名報道は「匿名社会」を避け、無責任なうわさの独り歩きを是正する一つの方法でもあります。
安否に関する情報を社会に告知する意味もあります。

理由④権力監視

捜査機関などの権力機構の恣意的な情報隠しや誤りがないかをチェックすることは報道機関の役割のひとつです。実名での報道は、権力を持つ人物が法を適正に執行しているかについて、国民の側からの監視をより容易にするとされています。
だれが逮捕されたか、起訴されたかを実名で伝えることが、容疑者・被告の人権を守ることにもつながるということも実名報道の大義名分です。

「実名」とは

実名報道原則にいう「実名」とは、基本的には本名のことをいいます。
本名は、日本人なら戸籍名、外国人なら外国人登録証やパスポートに記された名前であるのが通常です。

ただ、芸能人など実際は本名よりも社会に通用する「通名」「通称」で生活・活動している人もいます。
とくに朝鮮半島出身者の場合、歴史的経緯があるので注意が必要です。在日韓国・朝鮮人は、日本社会での差別・偏見のため「在日」であることを知られないように通名で生活してきた人もいまだ少なくありません。

本名だけの表記だと本人とわかりにくい場合には、実態に即した表記を考えるべきとされます。ただし、容疑者・被告の名前の表記については検討が必要であり、民族差別の問題など、外国人や外国出身者であることが動機などに深く関係していると判断される場合など、本名表記が必要と判断されるときは、「通名(本名)」などと併記したり、本名のみの表記としたりすることがあります。

警察発表について

事件・事故をめぐる各都道府県警察の発表形態も必ずしも一律ではありません。外国人や外国出身者などについて「○○こと××」として、通名・通称「○○」と本名「××」を併記して発表するところもある一方、通名を出さず本名だけを発表するところもあります。

捜査当局の発表

2005年4月の個人情報保護法全面施行を機に、社会のあらゆる分野で個人情報保護を理由とした匿名化が進んでいます。
捜査当局も、事件・事故などの発表の際、容疑者や被害者らの氏名、住所、職業、学校名などを詳しく公表しない傾向が強まりました。

実名で報じるか否かのメルクマール

実名で報じるか否かは、実名に基づく十分な取材をし、その中で得られた事実関係を踏まえたうえで、報道機関が自主的に決めるとされています。

メルクマールとしては、

  • 関係者の社会的地位・立場
  • 事件・事故の重大性
  • 書かれる側の被る不利益

などを考慮して判断されています。

関係者の社会的地位・立場については次項で説明します。

1.事件・事故の重大性について

「重大な事件」とは
(1)死傷者数の多い事件
(2)社会的な広がりの強い事件
(3)文明的、国際的な広がりのある事件
(4)動機や態様が特異な事件
(5)当事者の属性が注目される事件

連合赤軍事件、地下鉄サリン事件など一連のオウム真理教による事件などは、「歴史的重大事件」として、実名による詳細な報道が求められます。

3.書かれる側の不利益について

「容疑者」として実名報道されることにより、社会から色眼鏡で見られ更生を妨げられる可能性もあります。
たとえ冤罪であったとしても、名誉回復報道に気が付かない世間の目はあたかも「犯罪者」に対するもののようになりますし、冤罪であったと知ってもなお疑念の目を向けられることもあります。

このような不利益を勘案して、単純な万引きなど軽微な犯罪については実名報道が避けられる場合もあります。

もちろん、この利益衡量については報道機関によって判断が異なる場合があります。
たとえば、2001年に成人式が全国的に荒れた際、高松市では市長があいさつしている最中に新成人が壇上に駆け上がって市長へ向けてクラッカーを鳴らし、威力業務妨害容疑で逮捕された事件がありました。
朝日新聞をはじめ、読売、産経は20歳の新成人4人を実名で報道しました。
朝日新聞は新成人としての自覚が問われる悪質な事件だと考えたことによるとのことです。ただし、毎日新聞は匿名とし、社によって判断が分かれました。

特に報じられやすい関係者とは

関係者の社会的・地位によって報道されやすいか否かが異なります。
公人・公的存在については報道されやすい傾向にあります。

(1)政治家・候補者

政治家の公人性にかんがみれば、違法・不正行為、反社会的な行為に関与したり、不明朗な資金を受け取ったりした場合はもちろん、秘書給与を肩代わりしてもらっていた場合や、秘書が不明朗な資金を受取った場合なども実名で報じるのが原則とされます。
単なる参考人で捜査当局の聴取を受けたときも、疑惑や事件にかかわったと判断した場合は実名報道されます。

(2)公務員・教員・大学教授

捜査の対象になったり、不正行為への関与が明らかになった場合はもちろん、職務の責任や重さに照らしてその適格性が問われる事実が判明したときは実名で報道されます。

さらに教員は子どもや社会に対して強い影響力を持ち、親をはじめ地域住民の関心も高いため、一般公務員に増して高い倫理性が求められています。その分、実名報道がされやすい傾向にあります。

(3)裁判官・検察官・弁護士・警察官・自衛官

職務の公共性の高さから、職務に関する不正は実名で積極的に報じます。
弁護士の場合は刑事事件になる前、例えば弁護士会の懲戒処分が決まった時点で報道することもあります。

(4)医師・公認会計士・報道関係者

専門性の高さ、その職務の内容の公共性の高さ、社会的責任の大きさから実名報道がされやすい傾向にあります。

(5)企業・団体の代表者および幹部

(6)作家・芸能人・文化人・スポーツ選手等

特定多数・不特定多数に影響を与える立場にあり、社会に対する影響力とそれに伴う責任の大きさを理由に公的存在としての側面を持つと考えられ、実名報道がされやすい傾向にあります。
また、世間の興味といったニーズから、芸能人・スポーツ選手等の家族については、自身が芸能人等でなくても報道されやすいようです。

例外的に実名を避ける事案

1 少年事件

少年事件の報道の原則

少年法61条(記事等の掲載の禁止)家庭裁判所の審判に付された少年(※1)又は少年のとき犯した罪により公訴を提起された者については、氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等によりその者が当該事件の本人であることを推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物(※2)に掲載してはならない。

少年法61条に反した場合であっても、罰則は設けられていません。
しかし、憲法で保障された表現の自由を、法律で制限する規定は極めてまれでその意味は重いとされます。
日本新聞協会の「少年法61条の取扱い」(1958年)は、少年の氏名、写真などは紙面に掲載すべきでないとの原則を掲げています。

⇒原則匿名での報道とされます

※1 審判前については規定されていませんが、報道機関は規定の趣旨を尊重し、逮捕や補導など最初の時点から匿名報道としています。
※2 「新聞紙その他の出版物」との規定となっておりますが、既定の趣旨を尊要して、テレビ報道についても自主的に控えられているようです。

報道ルール

少年報道が特別慎重に扱われる理由

少年は成人に比べて未成熟な存在であり、可塑性(少年の持つ、自分の起こした行為の問題点を反省して立ち直っていける柔軟さ)に富んでいると考えられ、教育や環境次第で立ち直れる可能性はより高いとされます。
少年法が少年の保護・更生を目的としているのも、その認識に基づきます。

少年の将来の社会復帰のための支障をなるべく小さくするために、取材方法や記事の表現については慎重な姿勢が求められます。

少年事件の場合、事件の背景や動機を深く探っていけばいくほど、少年やその家族、友人・知人らのプライバシーに大きく踏み込んでいかざるをえない傾向があります。
記事では少年を匿名にしていても、取材を通して地域の住民に少年の名が結果として広まってしまうケースもあります。他方、取材上のリスクとして、少年の特定をあいまいにしていることで、取材する側と取材を受ける側が別人を想定しながら情報のやり取りをしてしまうことも考えられます。

  • 犯罪少年・触法少年は匿名とする。発覚時に成年に達していたときや、司法手続の過程で成人に達した場合も同様に扱う。ただし、歴史的重大事件や、逃走中で再び重大犯罪を起こす恐れが強いときは、特例として実名で報じることを検討する。
  • 少年事件の関係者の住所や発生場所は、少年の特定につながらないよう配慮して表記する。原則として、政令指定市では区名、市部は市名、町村部は郡名までとし、「県東部」などと地域で表現することも検討する。学校がからむ場合、学校を匿名とするかどうかは、事件の社会性や学校側の責任の程度などによって判断する。
  • 18歳以上の少年の犯罪で死刑が確定する場合には、その段階から被告(死刑囚)を実名に切り替える。必要が応じて、匿名から実名にした「おことわり」を添える。

【朝日新聞社の指針】

例外的に少年事件について実名で報道する場合

1.事件の重大性
2.社会的な関心の高さ
により、例外的に実名報道がなされる場合があります。

また、当該少年が18歳に達しているかどうかも判断材料の一つとなります。


日本新聞協会の「少年法61条の取扱い」(1958年)では、
①逃走中で、放火や殺人などの凶悪な犯罪を重ねるおそれが強い場合
②指名手配中の容疑者捜査に協力する場合など、少年保護よりも社会的利益の擁護が強く優先する特殊な場合

については、少年の実名、写真の掲載を認めるとします。

実名報道の例
  • 逃走中で、凶悪犯罪を重ねるおそれが強い場合事件の重大性・緊急性から、社会的利益が少年保護の要請に勝るとされます。
  • 公開捜査の場合指名手配中の容疑者捜査に協力する場合など、少年保護よりも社会的利益の擁護が強く優先する場合には、実名報道がなされます。
    (捜査機関は少年法の精神を尊重し、容疑者の公開捜査は原則成人に限っています。しかし、警察庁は2003年に「少年自身の保護と社会的利益との均衡、捜査の必要性等の諸要素を総合的に勘案してその要否を判断し、必要かつ適切と認められる場合には、例外的にこれを行うことが許される」との通達を出し、容疑者が少年か、その可能性のある事件での公開捜査がありうることを明文化しました。その例として、「犯した罪が凶悪であってその手段、方法が特に悪質で再び犯罪を行うおそれが高く、社会的にも大きな不安を与えており、捜査上他にとるべき方法がない場合」を挙げています。)
  • 未成年の芸能人による事件社会的な関心の高さ・影響力の大きさから、芸能人については実名報道とされます。
  • 親が政治家・芸能人等の場合少年犯罪の場合、なぜ事件が起こってしまったか、その経緯等を考えるうえで成育環境・家庭環境は重大な要素となります。親が政治家・芸能人等公的な存在であれば、子供の育ち方や育て方も社会の正当な関心事となりえます。
    芸能人等である親について実名報道するかどうかは、このような事情や社会の関心とのバランスを検討し、事件の性質、親のかかわりの程度などを慎重に見極めて判断すべきでしょう。
    親が記者会見をした場合は、基本的に親については実名報道がなされます。
少年審判の内容と報道

少年法により審判は非公開とされています。そのため、長い間審判内容は被害者にさえ知らされませんでした。
しかし、少年による凶悪事件の発生や公表すべきであるとする世論の高まりにこたえ、1990年代半ばごろから、家庭裁判所が審判の日程や決定の内容について、一部は事実上の公開をするようにかわりました。
公表される決定要旨には、犯行状況や事件にいたる経緯のほか少年の発育歴、家庭環境、学校での行動も友人関係、成績などです。場合によっては、精神病理学的知見などさらに踏み込んだ記載がなされているケースも存在します。

少年の死刑判決時と報道

犯行当時18歳以上の少年の死刑が確定する場合には、原則として、確定時点から実名報道となります。
なぜならば、少年事件を報道とする最大の理由である「本人の更生・社会復帰」への配慮の必要がなくなるからです。さらに、権力行使の監視という意味でも、国家が合法的に人の命を奪う死刑が誰に対してなされるか、社会に明らかにされるべきだという理由もあります。

2 精神障害者の事件

  • 逮捕された容疑者に精神障害があるか、またはその疑いがあり、刑事責任能力のない心神喪失者である場合は、匿名を原則とします。当初は実名でも、取材の過程や司法の判断で、刑事責任が問えない可能性が高くなったら匿名に切り替えます。逆の場合もあります。
  • 精神障害者イコール心神喪失者ではありません。心神喪失かどうかは障害の程度や病名、治療時期、捜査当局の見方や供述内容などを踏まえて総合的に判断します。重大事件の場合は、捜査当局が刑事責任を問えるかどうか微妙であっても実名とします。重大事件でない場合は、刑事責任が微妙なときは匿名が原則。歴史的重大事件では、刑事責任が問えない可能性があっても実名を記し、顔写真を掲載することがあります。
  • 匿名の場合、「精神障害の疑いが強い」とせず、「刑事責任能力の有無を調べている」などと表現を工夫し、精神障害者一般への偏見を助長しないように配慮します。病状や病歴、入通院歴などは原則として報じません。事件の重大性などから判断して触れることも例外的にありえますが、症状や周囲の対応など事件に至る予兆や背景を併せて取材し報じるよう努めるべきとされます。
  • 匿名の場合、「精神障害の疑いが強い」とせず、「刑事責任能力の有無を調べている」などと表現を工夫し、精神障害者一般への偏見を助長しないように配慮します。病状や病歴、入通院歴などは原則として報じません。事件の重大性などから判断して触れることも例外的にありえますが、症状や周囲の対応など事件に至る予兆や背景を併せて取材し報じるよう努めるべきとされます。

【朝日新聞社の指針】

刑事責任能力と実名・匿名

精神保健及び精神障害者福祉に関する法律では、精神障害者を、統合失調症、薬物中毒、知的障害、精神病質(人格障害等)、その他の精神疾患を有する者と規定します。
ここでは、精神疾患(統合失調症や躁鬱病)、パーソナリティー障害(人格障害)を精神障害とし、薬物中毒、知的障害は分けて考えます。

精神障害者と刑事責任能力

刑法39条は「心神喪失者の行為は罰しない。心神耗弱者の行為はその刑を減軽する」と規定しています。
心神喪失の例としては、精神障害や覚せい剤の使用によるもの、酩酊などが挙げられます。
犯行時に心神喪失だった者は刑事責任がないとして、起訴されたとしても無罪になります。

心神喪失者であることが明らかになった場合には、社会的偏見による本人や家族の不利益を避け、本人が社会復帰した場合に配慮し、匿名で報じます。

⇒精神障害者による犯罪で、実名にするか匿名にするかの判断の最大のポイントは、刑事責任を負う能力があるか否かの見極めです。

例外的に実名報道される場合

刑事責任能力が欠如しているとみられる場合でも、実名報道に踏み切る場合もあります。

  • 政治家などの公人・公的存在の場合その言動や健康状態が社会全体の利益にかかわるためです。
  • 殺人や放火、強盗などの凶悪事件を起こした精神障害者またはその疑いのある容疑者が、凶器を持ったまま逃げている場合被害の拡大を防ぐため、容疑者の実名報道や、場合によっては顔写真の掲載も検討する場合があります。
  • 政治テロや社会的衝撃が大きい「歴史的重大事件」の場合実名報道で精神障害者が受ける不利益よりも、国民の知る権利を優先させます。
心神耗弱者について

心神耗弱とは、精神の障害等の事由により事の是非善悪を弁識する能力又はそれに従って行動する能力が著しく減退している状態をいいます。
心神喪失と異なり一応責任能力はあるとされますが、心神耗弱が認定されると必ず刑が減軽されます(必要的限定)。
心神喪失者よりは実名報道のハードルは低いものとされ、検察官が心神耗弱を理由に起訴猶予にした場合でも、事件にニュース性があると考えられるときは実名にします。
判決で心神耗弱を理由に減軽された場合も実名を維持します。

家族が被害者である場合

精神障害者が自分の家族を殺した事件では、容疑者を匿名にした場合は被害者も匿名にします。

強姦事件の一部

犯罪の重大性と実名報道の原則から、強姦事件の容疑者は実名で、被害者は匿名で、が原則です。
しかし、実父や義父が容疑者で、その娘が被害者となった事件の場合、住所や名字が同じ場合が多く、被害者の特定につながる恐れがあります。こうした事案では被害者保護のため、容疑者は匿名で報じます。

参考

報道にあたり、強姦事件の場合は事件の凶悪性があいまいになるのを避けるため、「暴行」「乱暴」「レイプ」は使わずに、「強姦」とします。なお、強制わいせつなどの性犯罪については、「体に触った」「わいせつ行為をした」などの表現を用いることとし、「いたずら」は使わないようにします。

微罪・軽過失な事件

単純な万引きなど、容疑内容と実名報道の不利益のバランスを考えて、匿名とする場合があります。

朝日新聞は1990年8月5日付朝刊の「読者と新聞 編集局から」の中で、「微罪・軽過失事件の容疑者や、ひったくりのような単純な一過性の事件の被害者など、実名を伝える必要性に比べて当事者に与える不利益や迷惑のほうが大きいと考えられるようなケースは、できるだけ匿名で報じることにしました」と記し、考え方の基本としました。

容疑者の写真の使用について

容疑者の写真掲載の必要性

容疑者の写真は、事件の重要な情報の一つであり、掲載することで読者により豊富な情報を提供し、事件への関心を高めてもらうことにもつながります。

写真掲載の可否の判断基準

事件の重大性や対象人物の公人性、リスク・コミュニケーションの必要性などを踏まえて判断します。
残虐性が強かったり被害者が複数に及んだりする殺人や、無差別殺傷事件、被害の大きな強盗や詐欺、連続強姦など悪質な犯罪、誘拐事件などが、掲載の一つの目安になります。また、公開手配の場合は積極的に掲載します。ただし、逮捕時に物証が乏しく、本人が否定している場合などは慎重な判断が必要とされます。
政治家の犯罪や公務員の汚職事件、企業犯罪の容疑者や、芸能人など公人や公的人物の場合には、私人よりもプライバシーの範囲は狭いと判断され、掲載に積極的な判断がなされるようです。

連行写真について

容疑者の連行写真を掲載するか否かは、事件の重大性も判断材料に慎重に検討されます。
掲載する場合にも、手錠や腰縄姿の写真は、読者により強く「逮捕された犯罪者」としての姿を印象付けるため、手錠・腰縄部分について見えないように加工するなどの配慮がなされているようです。

呼称について

  • 服役中や禁錮などで拘置中の有罪確定者原則として「受刑者」
  • 殺拘置中の死刑確定者「死刑囚」
    (死刑の執行を報じる際も実名で報じ、呼称は「死刑囚」)
  • 罰金刑や執行猶予付きの有罪判決確定者原則として肩書呼称。適当な肩書がない場合は敬称を使用
  • 刑期を終えた人や仮釈放された人原則として匿名
    必要に応じて実名とする場合は肩書呼称か敬称、または「元受刑者」「元死刑囚」

報道の際に前科・前歴には触れないのが原則です。
ただし、新たな事件の容疑が持たれ、前科・前歴と内容に関連がある場合は報じることを検討します。
また、前科の対象となった過去の事件が歴史的、社会的意義を持っている場合や、政治家や候補者ら公的立場にある人の前科で、公職に就くことの判断材料に資する場合は報じられます。

任意取り調べ、参考人聴取の際の報道について

私人の場合

任意の取調べや参考人聴取の場合は原則匿名とし、逮捕された時点で実名・容疑者呼称とします。ただし、逮捕状が出ることを確認した段階で実名・容疑者呼称とすることもありえます。
また、書類送検、在宅起訴となった際などにも実名での報道となります。ただし、肩書き呼称が原則のようです。書類送検の段階から容疑者呼称を用いていた場合には、引き続き容疑者呼称とされます。

公人・公的存在の場合

その立場や権限と容疑の内容との関係を考慮しながら、任意の取調べや参考人聴取の段階でも実名・肩書呼称とすることを検討します。
政治家や裁量権の大きな公務員の場合には、実名・肩書呼称で報じられる場合が多いでしょう。
嫌疑をかけられたこと自体で、政治家などとしての資質に疑念が生じるためです。
容疑内容がその立場や権限と密接に関わっているとみられる場合は、任意の取調べ段階であってもより積極的に実名・肩書呼称を選択します。

逮捕や書類送検などを報じた後に、結果的に不起訴処分となった場合は、できるだけ記事にして名誉回復を図る努力が行われているようです。私人の場合は本人の意向を確認し、実名を出すときは、肩書呼称か敬称をつけます。
政治家等の公人や公的存在は原則実名で肩書呼称とします。

参考人聴取について

被害者や目撃者、その他事件に関係する容疑者以外の人を「参考人」と呼びます。
私人の場合は原則匿名ですが、汚職事件が起きた事自体の首長や幹部、選挙違反事件で選対幹部・運動員らが逮捕された場合の政治家・候補者など、公人や公的存在で、管理・監督の責任や道義的責任が問われるケースは、基本的に実名・肩書呼称とされています。

別件逮捕についての報道

別件逮捕は、原則として匿名とし、本件逮捕に切り替わった時点で実名とします。
ただし、別件逮捕の概念は法的に決まったものではないため、機会的な判断は避けるべきとされています。
しかし、本件に直接つながる場合や別件自体が重い容疑の場合は、本件との関わりについての記述に慎重な配慮を尽くした上で実名とすることもあります。

インターネット報道における注意

記事は紙面だけでなく、インターネットのウェブサイトや携帯電話サイト、電光ニュース、ラジオ、テレビなど様々な媒体で利用されています。

インターネットにおいて速報を流すことで、いち早く情報を届けることができるようになった反面、事態を十分に把握する前に発表することによって修正が必要となることもありえます。
事件・事故の速報では、初報段階とその後で実名・匿名の判断が切り替わる場合もあります。
記事に修正の必要が生じたときは、その都度速やかに反映させ、ネット上の情報を随時、より正確な内容に書き換えていく作業が求められます。

参考
アサヒ・コム掲載事件について

2010年7月に兵庫県宝塚市で女子中学生2人が自宅に放火し家族が死傷した事件。
火災は午後2時台に発生。最初は通常の火災と思って、アサヒ・コムなど電子媒体では被災者を実名で速報しました。ところが昼前になって中学生による放火事件の疑いが強まり、火災に遭ったのが中学生の家族であることから匿名に修正しました。
夕刊の紙面では最初から匿名で掲載しました。

痴漢報道について

痴漢被害の申告が急増する一方で、逮捕された男性が「真犯人である別人と間違われたのではないか」「鞄がぶつかったのを手で触られたと勘違いしたのではないか」と無罪を主張し、裁判の結果、無罪が確定するケースも散見されます。
通勤ラッシュ時の混雑した電車内では、女性がいつ被害に遭ってもおかしくない反面、男性もいつ冤罪事件に巻き込まれてもおかしくない状況にあります。

2009年4月14日には最高裁が痴漢事件で無罪判決を出しています。
電車内で女子高校生に痴漢をしたとして、防衛医大教授が強制わいせつ罪に問われた事件で、有罪とした一、二審判決を「必要な慎重さを欠いていた」と指摘して破棄しました。
痴漢は客観的な証拠が得にくい一方、犯人とされると被告には有効な反論が難しいという特長を指摘しました。5人の裁判官のうち3人の多数意見で、2人は反対意見を述べる、という微妙な判断でした。

冤罪の場合、容疑者とされた人が受ける被害は深刻です。
否認した男性が93日間も勾留されたケースもあります。勤め先を解雇される場合も多く、社会的な立場や経済的基盤を一挙に失ってしまいます。

また、無罪判決が出た場合であっても、「痴漢で逮捕」と大きく報じられた後では、信用回復は実質上困難であることが現実です。ありふれた犯罪行為であるからこそ、報道されるか否かは、容疑者のその後の人生にとって多大な影響を及ぼします。

逮捕されたのが高い倫理性を求められる職業の人やその言動に社会的影響力がある人(公務員や学校の教員、政治家・芸能人など)の場合には実名報道がなされる傾向にあります。
それ以外の「私人」の場合には掲載しないか、事案が特異でニュース性があれば匿名での掲載を検討します。
例えば公務員の場合、どの階級の公務員が「高い倫理性を求められる」のか「社会的影響力がある」のかは、ケース・バイ・ケースで判断されます。

報道を見ると、裁判官・検察官・警察官・議員・市区役所職員・自衛官等については報道がなされています。また、教員は私立学校の教員であっても性犯罪については報道される傾向にあります。他に、芸能人・コメンテーター等の著名人、弁護士・医師・大企業役員等についても実名報道がなされるようです。

また、公人や著名人、私人の別なく、認否は必ず確認するようにし、否認(自分は痴漢行為をしていないと主張)しているときは必ず明記します。何人もが取り囲んで強制わいせつ行為をしたり、常習者であったりといった特に悪質な行為は別であり、実名報道とされます。

交通事故報道について

どんなに真面目な人でも、ちょっとした気持ちの緩みから大事故を引き起こす可能性があります。犯罪とは無縁の生活をしていた人であっても、人を死なせてしまう結果となることも。

交通事故の報道についても、やはり原則は実名報道です。
逮捕された人は、原則として実名で「容疑者」呼称としますが、例外的に肩書呼称や敬称「さん」を使用することもあります。

特に死亡事故は実名報道がなされます。
交通事故の報道で、実名は安否情報として重要だからです。

ただし、規模の比較的小さな事故の場合、個々のケースに応じて匿名とする判断もあり得ます。

被害者報道について

通常の犯罪については、被害者についても実名報道が原則とされています。

記者としては、なるべく被害者も実名で発表するよう求めていきたいという方針です。

  • 被害者は偶然に被害に遭ったのであり、好んで巻き込まれたわけではないが、事件・事故に巻き込まれた瞬間、社会的な存在にならざるを得ません。
  • こうした被害者の社会性から考えると、氏名や年齢、住所という基本的な情報は公表されるべきです。
  • 事件・事故をめぐる基本的情報の公開はプライバシー侵害には当たらないとされます。

【朝日新聞社の指針】

被害者の属性をどこまで報道するか
  • (1)社会に伝える必要性
  • (2)報道による二次被害の可能性(逆に、ほかの人・店・団体などが混同されて困る可能性)
  • (3)時間の経過

以上の要素を考え合わせて個々に判断されています。

被害者について記載する場合にも、事件と関連しない要素を書くことは避けなければならないし、事件との関連を書く場合にも配慮が必要です。
被害に遭った事実自体が、その人や店などの信用問題につながる場合もあります。
触れられたくない事実(職業や病歴、人間関係など)もあり得ます。
報道する重要性、緊急性と、取材で得たり想定できたりする被害者の具体的な不利益とのバランスを考え、何をどこまで報道するかの判断をすべきです。

匿名報道の必要性

プライバシー意識の拡大や犯罪被害者への偏見、メディアスクラムの問題から、警察への匿名発表、マスコミへの匿名報道を求める声も強くなりました。

政府の方針

2005年12月に閣議決定した政府の第1次犯罪被害者等基本計画では「警察による被害者の実名発表、匿名発表」も論点となり、「犯罪被害者等の匿名発表を望む意見と、マスコミによる報道の自由、国民の知る権利を理由とする実名発表に対する要望を踏まえ、プライバシーの保護、発表することの公益性等の事情を総合的に勘案しつつ、個別具体的な案件ごとに適切な発表内容となるよう配慮する」とされました(2011年度からの第2次計画でも踏襲)。
警察が個々に判断するということとなりましたが、それ以後さらに匿名発表が増えているようです。

例外的に匿名報道される被害者
性犯罪被害者

強姦罪や強制わいせつ罪といった性犯罪について、被害者の名誉を重視し、精神的苦痛等の不利益の増大を回避するため親告罪とされている趣旨に鑑み、性犯罪被害者については匿名報道とされます。

<セカンドレイプ(二次被害)>

性犯罪の被害者が、その後の経過において、更なる心理的社会的ダメージを受けることをいいます。
警察の取調べや医師の診察で「あなたにも隙があった」「露出の多い格好をしているから悪い」など心ない発言をされることがあります。
また、原則公開の法廷において、忌まわしい記憶を鮮明に思い出してしまい、さらに弁護人の主張や尋問において被害者を傷つけるような発言をされる場合も。
報道においても、被害者に批判的な報道をされる場合だけでなく、自身の事件が話題にされ好奇の目にさらされることにより耐えがたい苦痛を味わうなど、性犯罪被害者は実際の被害の後に、二次的な被害を受けることがあります。

ひったくりのような単純な一過性の事件の被害者

実名を伝える必要性に比べて当事者に与える不利益や迷惑の方が大きいからです。

自宅や路上での強盗、空き巣(侵入盗)に遭った被害者

被害報道されることで、一人暮らしであることや、自宅にまとまった現金を置いていたことなどが報道で広く知られることによって、更なるターゲットとされる危険性があるからです。

「振り込め詐欺」や「結婚詐欺」など個人を標的にした詐欺事件の被害者

これらの事件では、実名で報道すると被害者が揶揄されて被害を申告しにくくなる恐れがあるのに加え、被害者の名前よりも手口を報道することがニュースの中心となるからです。

性的動機が疑われる、子どもや少女の連れ去り事件の被害者

連れ去り後、金銭の要求がなく性的な動機が疑われるような場合は匿名とされます理由は性犯罪被害者を匿名報道にすることと同様、被害者の名誉の重視によるものです。

※子どもや少女の連れ去り事件などでは、行方不明になった時点では情報を求めるために被害者を詳しく報道することが求められます。

子どもや長期にわたり監禁された被害者

立ち直りのため、実名や写真を必要以上に繰り返し掲載しないなど、被害者が過度にさらされないよう配慮が必要とされるからです。

何箇所も刺されるなどして重傷を負った被害者

立ち直りのため、実名や写真を必要以上に繰り返し掲載しないなど、被害者が過度にさらされないよう配慮が必要とされるからです。

紙幅・放送時間等による制約

新聞では全国版に年間数千件、県版レベルではその何倍かの人々の身柄拘束情報が、実名入りで発表されています。

事件の内容や容疑者の属性によって、報道されやすさに程度の差はあるにせよ、それ以外にも、新聞には紙面の紙幅、テレビには放送時間という制約があります。
事件が報道されるか否かは、他の事件や社会情勢とのバランスにもよるということです。
突然の首相の辞任や、未曾有の災害の発生などによって、報道を予定していた事件が全てとんでしまうということもあります。
結果として、選挙投票日の翌日の紙面は、通常の事件が非常に掲載されにくいようです。

報道されてしまったら・・・
容疑者として報道されてしまった場合、会社や学校から事情を聞かれ、解雇・退学処分が濃厚となる場合が多いでしょう。
特に示談をしていた場合には、罪を認めたと解釈されてしまうようです。

会社や学校からの事情聴取に対しては、冤罪であるとの一点張りで通しつつ、検察官の取調べに対しては自白して素直な供述態度で臨み、反省を示すことによって不起訴処分を狙う方もいるようです。供述内容が一見矛盾しているようですが、通常検察官が取調べ状況について会社や学校へ情報開示することはありません。不起訴処分さえ取れれば、不起訴処分告知書を会社や学校に提出することによって解雇・退学処分を免れることは大いに考えられます。
しかし事件の結末を見届ける前に処分を決めようとする会社・学校も多いので、必要なことを説明して、処分を待ってもらうように交渉する必要があるでしょう。

弁護士としては、積極的に嘘をつくことはできません。つまり、実際に事件を起こしていることを知っていながら、会社や学校からの問い合わせに対して冤罪だと主張することはできません。しかし、会社や学校から、弁護士に対して問い合わせがあった際には、弁護士としては守秘義務がありますので、事件の詳細や検事に対してどのような対応をしているかなどについて、依頼者の許可がない限り、一切回答できません。
結果的に会社や学校としては、実際に事件を起こしたのか、それとも冤罪なのかの確証を得ることは困難になることもあります。

マスコミ報道Q&A

そもそも実名報道をすることは違法でないのでしょうか?
冤罪事件で嫌疑をかけられた人はもちろんのこと、実際に事件を起こしてしまった人であっても、実名報道によって事実上被る不利益は大きいため、何とかして実名報道を避けたいところです。
しかし、少なくとも現状では、実名報道をすることは違法ではないとされています。

ケース1

公正証書原本等不実記載などの容疑で逮捕・勾留されたがその後不起訴となった原告が、虚偽の内容を実名報道されたことにつき、新聞各社に対し、実名報道をしたことそれ自体の責任を追及したケースにおいて、平成2年3月23日、東京地方裁判所は、違法ではないとして原告の主張を退けています。

ケース2

名古屋公判平成2年12月13日において、原告が業務上過失致死容疑で書類送検されたことにつき、新聞社が実名報道したケースで、実名報道したことそれ自体が違法であると主張したことに対し、犯罪主体となった者にとっては匿名又は仮名で報道されることが望ましいことは裁判所も認めるところであるものの、実名報道を違法なものとはいえないとして原告の主張を退けています。

犯罪の嫌疑をかけられ、警察からマスコミに事実が公表されたことによって、実名報道されました。しかし、後に嫌疑不十分ということで不起訴処分になりました。
あたかも犯罪者であるかのように報道されてしまったことは名誉毀損行為ではないでしょうか?
警察が敢えて嘘の事実をマスコミに公表したのであれば名誉毀損になります。しかし、結果的に事実でなかったにすぎないという場合にはどうなるのでしょうか。
裁判所の判断は、この場合、警察としてその公表時点までに通常行うべき捜査を尽くし、収集すべき証拠を収集した上で、公表当時に有罪と認められる嫌疑があったのならば名誉毀損にならないとしています(東京高判平成11年10月21日)。
逮捕された被疑事実について、否認(自分は犯罪をしていないと主張)しているにも拘わらず、自白(自分は犯罪をしましたと認めた)しているとして報道されてしまいました。どうやら警察の担当者が虚偽の広報をしたことによるようです。このような報道は許されるのでしょうか?
裁判所は、警察の広報担当者は「犯罪報道が被疑者やその親族等、捜査や公判に及ぼす種々の影響に鑑み、犯罪事実に関して正確に広報すべき職務上の義務を負う」として、虚偽の報道をされてしまった人に慰謝料を認めました(神戸地裁平成14年10月29日)。
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