わいせつ物頒布等罪違反わいせつ物頒布等わいせつぶつはんぷとう

【わいせつ物頒布等罪】刑法175条前段わいせつな文書、図画その他の物の頒布・公然陳列行為を処罰すること
【わいせつ物頒布等罪】刑法175条後段わいせつな文書、図画その他の物を販売の目的で所持する行為を処罰すること

リベンジポルノなどのほか、名誉棄損なども問題になります。(実際の事件と判決・処分例はこちら

一定の社会生活上の秩序(性的秩序)を維持するため、わいせつな文書、図画その他の物の公表を禁止することによって、健全な社会の性風俗の維持を目的としています。

わいせつ物頒布等罪の法定刑

法定刑は、2年以下の懲役又は250万円以下の罰金もしくは科料です。

どのようなものが「わいせつ」に該当するのか

判例は、「いたずらに性欲を興奮又は刺激させ、かつ、通常人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するものをいう。」としています(最判昭和26.5.10)。
しかし、個別の事案ごとに、その時々の社会状況と照らし合わせて、社会通念上「わいせつ」といえるか否かを判断しているようです。

「図画」とは

ある物体の上に表象された像形で性的衝動の興奮満足の手段となるべきものをいい、絵画やペンキ等を用いて描いたもののみならず、印画紙に焼き付ける印画である写真等をも広く含む(東京高判昭和26.12.26)とされています。

【「図画」に該当するとされたもの】
  • わいせつ映画のフィルム(最決昭和33.9.5)。
  • 撮影後いまだ現像のなされていないフィルム(名古屋高判昭和41.3.10)。
  • 男女の性器及び実際の性交(SEX)場面を直接撮影していないモーテル用ビデオであっても、男女の俳優による性交(SEX)、性戯等の姿態、発声の演技をきわめて大胆、露骨、執拗に描写することにより、見る者に対し、実際の性交(SEX)場面等を容易に連想させて直接的かつ強度の性的刺激を与えるものはわいせつの図画に当たる(「日活ポルノビデオ事件」)。
  • 性器及びその周辺部分を黒く塗りつぶして修正してあるが、その修正の範囲が狭く、かつ、不十分で、現実の性交(SEX)等の状況を詳細、露骨かつ具体的に伝える写真を随所に多数含み物語性や芸術性・思想性など性的刺激を緩和させる要素が全く見当たらず、全体として、専ら見る者の好色的興味に訴えると認められる写真誌(最判昭和58.3.8)。
  • 陰部に相当する部分を黒色マジックで塗りつぶしているが、その部分を消去し復元することが通常人において容易に行えるもの(東京高判昭和56.12.17)。
  • いわゆるビニール本(東京高判昭和57.6.29)。
  • 一見何らの猥雑な感情も抱かせるものではないが、からくりを用いることによってわいせつの図画を具現し、しかもそれほど労を要しないでそのからくりを察知しうると認められるハンカチ及びマッチ(札幌高判昭和44.12.23)。
  • やや深めの盃の底部に裸体の女性が種々の姿態で陰部を露出している写真を入れ、その上をガラスのレンズで覆い、酒や水等の透明な液体を注入するとその写真の映像が現れる仕組みになっている、俗にヌード盃といわれるもの(最判昭和39.5.29)。
  • 性的に未成熟な女児の陰部が露骨かつ鮮明に撮影された写真(いわゆるチャイルドポルノ写真)(東京高判昭和56.12.17)。
「その他の物」の例
  • わいせつの状態を示した彫刻物、置物等(東京高判昭和29.11.12)
  • 模造性器(最決昭和34.10.29)
  • わいせつな会話・音声を録音したテープのように、これを再生させることによって聴覚によって内容を感得し得るようにしている物は、映画フィルム、写真、小説等視覚によって内容を認識し得る場合と異ならず、その内容においてわいせつと称すべきものであれば、わいせつ物に該当する(東京高判昭和46.12.23、名古屋地判昭和46.4.1)。
  • わいせつな画像データを記憶・蔵置させたホストコンピューターのハードディスク(最決平成13.7.16)。
関連Q&A
頒布(もしくは販売)について、どのくらいの相手に交付した場合に犯罪が成立しますか?
不特定であれば少数であっても成立します。
・配布を受ける人が特定されず、当然若しくは成り行き上不特定多数人に配布されるべきものであるときには、現に配布を受けたものがわずか数人にすぎなくても、頒布の行為があったものとされます(大審院大15.3.5)
・わいせつビデオテープを顧客1名に売り渡した場合であっても、それが不特定の客の一人であり、本件以外にも、同人に対し、あるいは他の者に対し、わいせつビデオテープを売り渡して利益を上げており、本件売り渡しもその一環であると認められるときには、わいせつ図画販売罪が成立する(東京高判昭和62.3.16)。
・特定の組合員のうち、会員約290名に配布した事例について、会員の資格選考が全く形式的であり、その範囲が極めて広く、ほとんど無制限に来る者は拒まない方法である場合は、不特定者に対する配布である(東京高判昭和33.3.31)。

多数であれば特定されていても成立します。
・入会申込書に基づいて被告人が適格と認めた成年に会員が限定され、会員に配布される機関紙等の他人への販売・頒布が禁止されていた同会の会員延べ90名に対する配布は、多数人に当たるとされています(東京高判昭和43.9.10)。
・特定人からその持参したわいせつ写真の複製を依頼されてこれを複製し、依頼者に複数写真を交付したのみで、当該複製写真を依頼者以外の第三者には交付する意思のなかった場合は、「不特定又は多数人」に交付したことにはならないので、販売にはあたりません(札幌高裁函館支判昭和35.1.12)。
頒布等した物が、文書であるか図画であるか、その他の物であるかによって処罰に差異はありますか?
文書、図画、その他の物について処罰は異なりません。
芸術性の高い文書、図画であれば表現の自由がありますので、わいせつ物図画頒布等罪になりませんか?
その表現内容に関わりなく、芸術的・思想的価値のある文書であることだけの故をもってわいせつ性が否定されるものではありません。この点は判例も同様の判決を出しています(「悪徳の栄え事件」最判昭和44.10.15)。わいせつ性の判断については、「全体的考察方法」を取るべきであり、文書の個々の章句の部分のわいせつ性の有無は、文書全体との関連において判断されなければなりません。判例は、わいせつ性の存否は、当該作品自体によって客観的に判断すべきものであって、作者の主観的意図によって影響されることはなく、わいせつ性と芸術性は次元を異にする概念であることから、わいせつ文書であっても芸術性を有する場合があるとします(「チャタレイ事件」判決、「国貞事件」判決)。

ただし、表現の自由との関係が問題となるのは事実であり、その判断は事例ごとに慎重になされています。「当該文書の性に関する露骨で詳細な描写叙述の程度とその手法、その描写叙述の文書全体に占める比重、文書に表現された思想等と描写叙述との関連性、芸術性・思想性等による性的刺激の緩和の程度、これらの関連から当該文書を全体としてみたときに主として読者の好色的興味に訴えるものと認められるか否かなどの諸点を検討することが必要であり、これらの事情を総合し、その時代の健全な社会通念に照らして、それが、徒に性欲を興奮又は刺激せしめ、かつ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するものといえるか否かを決すべきものである。」(「四畳半襖の下張事件」最判昭和55.11.28)とされています。
わいせつ物頒布等罪の平成22年の検挙事例

DVD製造工場におけるわいせつ図画販売目的所持事件
DVD販売業者らは、平成22年6月、わいせつDVD製造工場において、販売する目的でわいせつDVDを所持したとして、同月、販売業者らをわいせつ図画販売目的で検挙するとともに、わいせつDVD約19万2,000枚等を押収しました(大阪)。

インターネット利用によるわいせつ図画販売事件
ビデオ販売業者は、平成22年7月、インターネットを利用して客から注文を受け、代金引換郵便小包で郵送する方法により、わいせつDVD等を販売したとして、11月までに、販売業者をわいせつ図画販売で検挙するとともに、わいせつDVD約5,500枚等を押収しました(鳥取)。

インターネット利用によるわいせつ図画公然陳列事件
無職男性は、平成22年5月ころから同年8月頃までの間、自己の携帯電話機を使用して、インターネット掲示板にわいせつ画像を掲示し、不特定多数の者にわいせつ画像を閲覧させ、わいせつ図画を公然と陳列したとして、11月までに、男性をわいせつ図画公然陳列で検挙しました(山口)。

暴力団組員らによるわいせつ図画販売目的所持事件
暴力団組員らは、平成22年2月、自宅において、販売する目的でわいせつDVDを所持したとして、同月、暴力団組員らをわいせつ図画販売目的所持で検挙するとともに、わいせつDVD約2,500枚等を押収しました(香川)。

参考
第175条(わいせつ物頒布等)

わいせつな文書、図画その他の物を頒布し、販売し、又は公然と陳列した者は、2年以下の懲役又は250万円以下の罰金若しくは科料に処する。販売の目的でこれらの物を所持した者も、同様とする。

わいせつ物頒布等罪とは

わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布・販売・公然と陳列・電気通信の送信により頒布・有償頒布目的で所持・有償頒布目的で電磁的記録を保管することによって成立する犯罪です。総称してわいせつ物頒布等罪といいます。
法定刑は、2年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金若しくは科料、又は懲役と罰金の併科となります。

わいせつ物頒布等罪の趣旨

一定の社会生活上の秩序(性的秩序)を維持するため、わいせつな文書、図画その他の物の公表を禁止することによって、健全な社会の性風俗の維持を目的としています。

わいせつ物頒布等罪の対象

客体はわいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物です。

わいせつ物頒布等の罪(刑法175条)について

「わいせつ」な「文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物」を「頒布し、販売し、公然と陳列し、又は販売の目的で所持する」ことによって成立します。

「わいせつ」について

判例は、「いたずらに性欲を興奮又は刺激させ、かつ、通常人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するものをいう。」としています(最判昭和26.5.10)。
しかし、個別の事案ごとに、その時々の社会状況と照らし合わせて、社会通念上「わいせつ」と言えるか否かを判断しているようです。

芸術性の高い文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物であれば表現の自由がありますので、わいせつ物図画頒布等罪にはなりませんか?
その表現内容に関わりなく、芸術的・思想的価値のある文書であることだけの故をもってわいせつ性が否定されるものではありません。この点は判例も同様の判決を出しています(「悪徳の栄え事件」最判昭和44.10.15)。

わいせつ性の判断については、「全体的考察方法」を取るべきであり、文書の個々の章句の部分のわいせつ性の有無は、文書全体との関連において判断されなければなりません。

判例は、わいせつ性の存否は、当該作品自体によって客観的に判断すべきものであって、作者の主観的意図によって影響されることはなく、わいせつ性と芸術性は次元を異にする概念であることから、わいせつ文書であっても芸術性を有する場合があるとします(「チャタレイ事件」判決、「国貞事件」判決)
ただし、表現の自由との関係が問題となるのは事実であり、その判断は事例ごとに慎重になされています。
「当該文書の性に関する露骨で詳細な描写叙述の程度とその手法、その描写叙述の文書全体に占める比重、文書に表現された思想等と描写叙述との関連性、芸術性・思想性等による性的刺激の緩和の程度、これらの観点から当該文書を全体としてみたときに主として読者の好色的興味に訴えるものと認められるか否かなどの諸点を検討することが必要であり、これらの事情を総合し、その時代の健全な社会通念に照らして、それが、徒に性欲を興奮又は刺激せしめ、かつ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するものといえるか否かを決すべきものである。」(「四畳半襖の下張事件」最判昭和55.11.28)とされています。
頒布等した物が、文書であるか図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物であるか、その他の物であるかによって処罰に差異はありますか?
文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物について処罰は異なりません。
「文書・図画」について

「文書」に該当するとされたもの

  • 性交(SEX)の場面を間接的・暗示的に描写した書物(最判昭和27.4.1)。
  • 外国語の書物(最判昭和45.4.7)。
    「英文の書籍のわいせつ性は、その読者たり得る英語の読める日本人及び在日外国人の普通人、平均人を基準として判断すべき」とされています。
  • 読み仮名付きの一見難解な和漢混淆文で、現代口語の解説文と一体になっている文書(東京高判昭和50.2.6)。
  • 「艶本研究国貞」特製本の本冊自体にはわいせつな部分はないが、本冊で省略されたわいせつ部分等を抜粋収録した別冊参考資料をあわせて一個の文書としてわいせつの文書に該当するとした判例(「国貞事件」判決)があります。
  • 科学書については、性研究に関する論文が掲載されていても、その余の大部分に男女性交(SEX)の状態を露骨詳細に描写し、人をして羞恥嫌悪の情を生じさせる短編数編が資料の部として掲載されているときには、全体としてわいせつ文書に当たります(最判昭和34.3.5)。

「図画」に該当するとされたもの

ある物体の上に表象された像形で性的衝動の興奮満足の手段となるべきものをいい、絵具やペンキ等を用いて描いたもののみならず、印画紙に焼き付ける印画である写真等をも広く含みます(東京高判昭和26.12.26)。

  • わいせつ映画のフィルム(最決昭和33.9.5)。
  • 撮影後いまだ現像のなされていないフィルム(名古屋高判昭和41.3.10)。
    • …わいせつ場面を撮影したものであれば、未現像の段階においても潜在的には既に制作者の企画に関わるわいせつ場面の映像がフィルムの上に映写されているのであって、ただ単に、現像の作業を残すのみであり、この作業は所定の科学的操作を繰り返すことによって比較的容易になされる作業であり、しかも現像は撮影者その他制作企画者以外の者の意図によってもなされ得るものであるから、未現像のまま転々頒布、販売される可能性もあるため、既に潜在的にわいせつ性を帯びており、わいせつ図画に当たるものとされています(名古屋高判昭和41.3.10)。
  • 男女の性器及び実際の性交(SEX)場面を直接撮影していないモーテル用ビデオであっても、 男女の俳優による性交(SEX)、性戯等の姿態、発声の演技をきわめて大胆、露骨、執拗に描写することにより、見る者に対し、実際の性交(SEX)場面等を容易に連想させて直接的かつ強度の性的刺激を与えるものはわいせつの図画に当たります(「日活ポルノビデオ事件」)。
  • 性器及びその周辺部分を黒く塗りつぶして修正してあるが、その修正の範囲が狭く、かつ、不十分で、現実の性交(SEX)等の状況を詳細、露骨かつ具体的に伝える写真を随所に多数含み物語性や芸術性・思想性など性的刺激を緩和させる要素が全く見当たらず、全体として、専ら見る者の好色的興味に訴えると認められる写真誌(最判昭和58.3.8)。
  • 陰部に相当する部分を黒色マジックで塗りつぶしているが、その部分を消去し復元することが通常人において容易に行えるもの(東京高判昭和56.12.17)。
  • いわゆるビニール本(東京高判昭和57.6.29)。
  • 一見何らの猥雑な感情も抱かせるものではないが、からくりを用いることによってわいせつの図画を具現し、しかもそれほど労を要しないでそのからくりを察知しうると認められるハンカチ及びマッチ(札幌高判昭和44.12.23)。
  • やや深めの盃の底部に裸体の女性が種々の姿態で陰部を露出している写真を入れ、その上をガラスのレンズで覆い、酒や水等の透明な液体を注入するとその写真の映像が現れる仕組みになっている、俗にヌード盃といわれるもの(最判昭和39.5.29)。
  • 性的に未成熟な女児の陰部が露骨かつ鮮明に撮影された写真(いわゆるチャイルドポルノ写真)(東京高判昭和56.12.17)。

「電磁的記録に係る記録媒体その他の物」に該当するとされたもの

  • わいせつな画像データを記憶・蔵置させたハードディスク、わいせつな彫刻物、置物、レコード、録音テープ等
  • 「ダイヤルQ2」の回線を利用したアダルト番組を流すための電話と接続されたわいせつな音声の再生機
  • わいせつの状態を示した彫刻物、置物等(東京高判昭和29.11.12)
  • 模造性器(最決昭和34.10.29)。
  • わいせつな会話・音声を録音したテープのように、これを再生させることによって聴覚によって内容を感得し得るようにしている物は、映画フィルム、写真、小説等視覚によって内容を認識し得る場合と異ならず、その内容においてわいせつと称すべきものであれば、わいせつ物に該当する(東京高判昭和46.12.23、名古屋地判昭和46.4.1)。
  • わいせつな画像データを記憶・蔵置させたホストコンピューターのハードディスク(最決平成13.7.16)。
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