その他不法行為不法行為ふ ほ う こ う い

【不法行為(民法709条)】不法行為とは、ある者が他人の権利ないし利益を違法に侵害する行為。また、その場合に加害者に対して被害者の損害を賠償すべき債務を負わせる法制度です。債務不履行責任と異なり、加害者と被害者の間に契約に基づく関係がないことが特徴です。

不法行為

他人に損害を与えた場合

他人の法益を侵害して損害を与えた場合、法的には、「刑事責任」と「民事責任」が生じます。

さらに民事責任には、「債務不履行」と「不法行為」という2つの種類があります。

債務不履行は、人が人と約束したことの不履行によって発生させた損害の填補を目的としています。
不法行為は、約束関係にない人が他人に発生させた損害の填補を目的としています。

他人の法益を侵害して損害を与えた場合、法的には、「刑事責任」と「民事責任」

刑事責任の法目的は、加害者たる犯罪人に対して国家が報復し、さらに、刑罰を科すことによって犯罪人を教育し良き社会人として社会復帰させ、また刑罰をもって威嚇することによって犯罪発生を予防しようとすることにあります。

民事責任の法目的は、被害者の救済、すなわち発生した損害の填補です。
被害者が、損害の填補を求めて損害賠償請求訴訟を提起したとき、はじめて国家がこの民事責任追及に手を貸すのです。

同一事件であっても、刑事裁判と民事裁判では、事実認定が異なることもあります(最判昭和34.11.26)。

不法行為の要件

  • 加害者に故意または過失が認められること
  • 他人の権利ないし利益を違法に侵害したこと
  • その行為により損害が生じたこと(因果関係)
  • 加害者に責任能力が認められること

※不法行為が成立するためには、行為者の故意または過失を必要とします。
「故意」とは、自己の行為が他人の権利を侵害し、その他違法と評価される事実を生じるであろうということを認識しながら、あえてこれをする心理状態(大判昭和5.9.19)です。
「過失」とは、その事実が生じるであろうということを不注意のために認識しない心理状態(大判大正2.4.26)です。

不法行為における被侵害利益について

財産権の侵害

  • 債権
  • 商号
  • 工業所有権・知的財産権
  • 営業・営業上の利益・営業の自由

人格権の侵害

  • 名誉
  • プライバシー
  • 氏名権
  • 肖像権
  • 生命・身体
  • 自由
  • 貞操等
  • 未成年者
    未成年者が他人に損害を加えた場合において、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、その行為について賠償の責任を負いません(712条)。
  • 精神上の障害により責任能力を欠く状態にある者
    精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態にある間に他人に損害を加えた者は、その賠償の責任を負いません。ただし、故意または過失によって一時的にその状態を招いたときは損害賠償責任を負わなければなりません(713条)。
  • 監督義務者の責任
    未成年者や精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態にある間に他人に損害を加えた者がその責任を負わない場合において、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負います(714条1項本文)。
    ただし、監督義務者がその義務を怠らなかったとき、またはその義務を怠らなくても損害が生じたであろう場合には責任を免れます(714条1項但書)。
    なお、監督義務者に代わって責任無能力者を監督する者も監督義務者と同様の責任を負います(714条2項)。

不法行為の効果

不法行為の効果は原則として損害賠償です。
損害賠償は、別段の意思表示がなければ金銭賠償が原則です(722条1項、417条)。
原状回復などの特定的救済は名誉毀損の場合(723条)などに例外的に認められるのみです。

不法行為の損害賠償額の範囲

不法行為の損害賠償の範囲についても、債務不履行の損害賠償の範囲を定めた民法416条の規定が類推適用されます(大判大正15.5.22、最判昭和48.6.7)
民法416条によると、損害賠償の請求は、「これによって通常生ずべき損害」の範囲とされます。
また、特別の事情によって生じた損害の場合には、「当事者がその事情を予見し、又は予見することができたときは」その賠償を請求することが出来るとしています。

  • 【積極的損害】
    積極的損害とは積極的な形で現実に支出された費用を指し、入院費・治療費・付添費・見舞費用・墓碑建設費・仏壇購入費・弁護士費用・立替費用などが相当とみられる範囲内において積極的損害にあたるとされます。
  • 【消極的損害】
    消極的損害は不法行為がなければ得られたであろう利益であり、得べかりし利益あるいは失われた利益という意味で逸失利益とも呼ばれます。
  • 【慰謝料】
    慰謝料は生命・身体・自由・名誉など精神的損害に対する賠償です。
    法律上、慰謝料の算定方法や、算定の際に考慮すべき要因についての規定はありません。判例は、一貫して、賠償されるべき損害が金銭的に測れない無形の精神的肉体的苦痛であることから、その額は、裁判官が口頭弁論に現れた諸般の事情を斟酌して自由裁量によりこれを定めるとの態度を取っています。
    そして、その場合、斟酌しうる事情には制限がなく、被害者側、加害者側、その他一切の事情が考慮の対象となり得ます(大判大正5.5.11、同大正9.5.20)。
被害者側の事情としては、
  • 精神的肉体的苦痛の程度、態様、継続期間等
  • 被害者の年齢、職業、社会的地位
  • 加害者の財産状態
  • 被害者側の過失の有無、その程度
    被害者本人の過失だけでなく、幼児の監督義務者の過失等、被害者と身分上ないし生活上一体をなすとみなされるような関係にある者の過失も考慮されます。
  • その他
    ex)
    ・現在のところ重大な障害は生じていないが、将来生ずるかもしれないという不安
    ・学生ないし生徒が受傷後治療のため入学試験を受けられなかったことや留年を余儀なくされたこと
    ・後遺症のため趣味や生活上の楽しみを奪われたこと
    ・被害者の既婚未婚の別
    ・被害者の家庭内での地位や扶養関係
加害者側の事情としては、
  • 侵害行為の態様
  • 軽過失によるものか、故意または重過失によるものか
  • 侵害行為の違法性の程度や動機等
  • 侵害行為後の加害者の態度
  • 加害者の社会的地位・身分・職業など
  • 加害者の財産状態
その他の事情としては、
  • 被害者と加害者の関係

不法行為の主張

不法行為においては、原則として被害者が加害者の故意・過失、違法に権利が侵害され、損害が発生したこと、および侵害行為と損害発生の間に因果関係のあることを立証しなければなりません。

不法行為で訴えられた被告側は、責任能力のないこと、違法性阻却事由があることを抗弁として主張・立証します。

慰謝料額の算定については、原告が慰謝料額の証明をしていなくても、裁判所は諸般の事情を斟酌して、その額を定めることができます(大判明治34.12.20)。

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