強制わいせつ罪強制わいせつきょうせいわいせつ

【強制わいせつ罪】180条1項
強制わいせつ罪は親告罪です

合意があると思っていても、女性からの訴えで合意がなかった強制わいせつ事件として弁護士の介入が必要となる刑事事件となることもあります。特にお酒の席では女性が酔っていたかどうかという問題も重要になります。(実際の事件と判決・処分例はこちら

強制わいせつ罪とは

通常の強制わいせつ罪については、
【13歳以上の男女に対して、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をすること】
【13歳未満の男女に対して、わいせつな行為をすること】

により成立する犯罪です。

“わいせつ行為”とは、「いたずらに性欲を興奮または刺激せしめ、かつ、普通人の正常な性的しゅう恥心を害し、善良な性的道徳観念に反する」行為をいうものと解されています(名古屋高裁金沢支部昭和36年5月2日判決)。

最終的には事案毎の判断にはなりますが、被害者の陰部を直接触れる行為や女性の乳房を弄ぶ行為、無理やりキスをする行為、自己の陰部を触らせる行為などは強制わいせつ罪のわいせつ行為に該当するとされています。いわゆる痴漢の場合には、被害者の下着の中に手を入れて直接性器を触る場合が強制わいせつ罪、服の上から触る場合が迷惑防止条例違反とされているようです。

詳細は「強制わいせつ罪になる行為とは」へ
強制わいせつ罪

強制わいせつ罪には、
強制わいせつ罪・・・・・・・・6ヵ月以上10年以下の有期懲役
準強制わいせつ罪・・・・・・・6ヵ月以上10年以下の有期懲役
強制わいせつ致死傷罪・・・・・無期又は3年以上の懲役

の規定があり、それぞれ未遂罪も罰せられます。

強制わいせつ罪の類型

強制わいせつ(176条)準強制わいせつ (178条1項)強制わいせつ致死傷罪(181条1項)
13歳以上の男女13歳未満の男女人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心身を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて強制わいせつ又は準強制わいせつの罪を犯し、人を死傷させたこと
暴行又は脅迫を用いて※暴行脅迫は不要
行為わいせつな行為をすることわいせつな行為をすること
法定刑6ヶ月以上10年以下の有期懲役6ヶ月以上10年以下の有期懲役無期又は3年以上の懲役
未遂罪未遂も罰せられる未遂も罰せられる既遂・未遂を問わず、犯罪に着手した後に致死傷の結果となった場合に成立する
親告罪か否か親告罪親告罪非親告罪

強制わいせつ罪と強姦罪の違い

強姦(177条)強制わいせつ(176条)
行為13歳以上の女子13歳未満の女子13歳以上の男女13歳以上の男女
暴行又は脅迫を用いて※暴行脅迫は不要暴行又は脅迫を用いて※暴行脅迫は不要
姦淫することわいせつな行為をすること
法定刑3年以上の有期懲役6月以上10年以下の有期懲役
未遂罪未遂も罰せられる
親告罪か否か親告罪
準強姦準強制わいせつ(178条1項)
行為人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて
姦淫することわいせつな行為をすること
法定刑3年以上の有期懲役6月以上10年以下の有期懲役
未遂罪未遂も罰せられる
親告罪か否か親告罪
強姦致死傷罪(181条2項)強制わいせつ致死傷罪(181条1項)
行為強姦又は準強姦の罪を犯し、女子を死傷させたこと強制わいせつ又は準強制わいせつの罪を犯し、を死傷させたこと
法定刑無期又は5年以上の懲役無期又は3年以上の懲役
未遂罪既遂・未遂を問わず、犯罪に着手した後に致死傷の結果となった場合に成立する
親告罪か否か非親告罪
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強制わいせつ罪になる行為とは

13歳以上の男女に対する強制わいせつ罪は、暴行又は脅迫を用いることが犯罪成立の要件となります。
では、「暴行」「脅迫」とはどのような行為をいうのでしょうか
  ⇒「暴行」は、身体に対して不法な有形力の行使をすることです。
  ⇒「脅迫」は、害悪を告知することです。

「暴行」の程度は

被害者が抵抗をできなくなる程の強度のものである必要はありません。
「暴行」と認められた行為としては、

  • 殴打(名古屋高裁金沢支判昭和36.5.2)。
  • 肩や着衣をおさえる行為(大判昭和8.9.11)。
  • 不意に股間に手を挿入する行為(大判昭和8.9.11)。
  • 衣服を引き剥ぎその裸体の写真をとる行為(東京高判昭和29.5.29)。
  • 被害者の抵抗を抑制する程度の抱擁(抱きつき行為)(大判大13.10.22、高松公判昭和33.2.24)。
  • 女性の陰部に指を挿入する行為(大判大14.12.10、大判大7.8.20)。
  • 女性の意思に反して無理矢理接吻(キス)する行為(広島高裁松江支判昭和27.9.24、東京高判昭和32.1.22他)。

など、それ自体がわいせつ行為である場合にもみとめられます。

わいせつ行為は

わいせつ行為とは、「いたずらに性欲を興奮または刺激せしめ、かつ、普通人の正常な性的しゅう恥心を害し、善良な性的道徳観念に反する」行為をいうものと解されています(名古屋高裁金沢支判昭和36.5.2)。

【陰部への接触行為】

電車内で、女子のスカートの上から手の甲で触れた場合、強制わいせつ罪になりますか?
通常、強制わいせつ罪にはなりません。
下着の中に手を差し入れて陰部を直接触るか、下着の上から執拗に弄ぶような場合に強制わいせつ罪に、洋服の上から触れる程度の場合は迷惑防止条例違反となることが一般的です。

強制わいせつ罪の「わいせつ行為」と認定された陰部への接触行為としては

  • 陰部に指を挿入する行為(大判大7.8.10、大判大14.2.10)。
  • 指で陰部を弄ぶ行為(東京高判昭和27.5.8)。
  • 被害者の陰部に自己の陰部を押し当てる行為(東京高判昭和27.5.8)。
  • 被害者の着衣の上から陰部を押しなでる行為(名古屋高裁金沢支判昭和36.5.2)。

【乳房への接触行為】

電車内でコートの上から女子の乳房を触る行為は強制わいせつ罪になりますか?
通常、強制わいせつ罪にはなりません。
この場合には迷惑防止条例違反になるのが一般的です。
電車内で、洋服の中に手を差し入れて直接乳房を触る行為は強制わいせつ罪になりますか?
通常、強制わいせつ罪が成立します。

女子の乳房を弄ぶ行為(大阪地裁堺支判昭和36.4.12)が、わいせつ行為に該当することはもちろんです。
着衣の上からでも、着衣が薄くて直接接触するのと同視できる場合や、着衣が厚くても乳房を執拗に触りこれを弄んだといえる場合には、わいせつ行為と認定することができ、強制わいせつ罪が成立します。

被害者が小学生であって、乳房が未発育である場合にはわいせつ行為に該当しませんか?
大阪地判堺支判は小学校6年生の児童の乳房を弄んだ行為につき「わいせつ行為」と認定した事例で、その程度の年齢であれば、性的な意識が存し、社会通念上も保護に値すると考えられています。
乳房が未発育というだけで、わいせつ行為に該当しないということはできません。
男子の乳房を弄ぶ行為はわいせつ行為に該当しますか?
男子の乳房を弄ぶ行為については、それだけではわいせつ行為と認定し難い場合が多いようです。

【接吻(キス)】

公道で女性に抱きつき無理矢理接吻(キス)する行為は強制わいせつ罪に該当しますか?公道で接吻(キス)を行うということについては、通常の恋人同士も行うことであってわいせつには該当しないと思うのですか。
強制わいせつ罪が成立します。

わいせつ性の概念は、基本的には公然わいせつ罪(刑法174条)やわいせつ物頒布等罪(刑法175条)と同様であるものの、強制わいせつ罪は、被害者の意に反したわいせつ行為を処罰し、本質的に被害者の性的自由・性的感情を保護法益とするものです。
「接吻(キス)行為」は、刑法第174条や同175条の「わいせつ」行為には該当しないとしても、強制わいせつ罪の「わいせつ行為」には該当するとされています(広島高裁松江支判昭和32.4.18他)。

男性に対して無理矢理接吻(キス)する行為も強制わいせつ罪が成立するのでしょうか?
強姦罪と異なり、強制わいせつ罪の被害者は女子に限定されません。
裁判例では、35歳の男が11歳の男の子に無理矢理接吻(キス)した行為は強制わいせつと認めています(大阪地判昭和43.2.6)。
女子を強姦した者が、さらに金品を強奪した場合は何罪が成立しますか?
強姦罪(177条)のほかに強盗罪(236条)が成立し、両者は併合罪となります(最判昭和24.12.24)。強盗罪の長期も強姦罪の長期も有期懲役ですので、20年の1.5倍である30年が長期の量刑となります。

【性交(SEX)等】

女子に対して姦淫がなされた場合には、強姦罪に該当します。
強姦罪の被害者は女子に限られますが、強制わいせつ罪については男子も被害者となり得ます。

  • 女子が男子に対してわいせつな行為を行った場合にも、強制わいせつ罪に該当します。
  • 被害者である男女に強いて性交(SEX)をさせる行為もわいせつ行為に該当します(釧路地裁北見支判昭和53.10.6)。
  • 少年の肛門に指や異物を挿入する行為もわいせつ行為に該当します(東京高判昭和59.6.13)。

【その他】

直接被害者の身体に触れなくても、裸にして写真をとる行為は、強制わいせつ罪を構成します(東京高判昭和29.5.29、東京地判昭和62.9.16)。

被害者女性を裸にして写真撮影する行為について、加害者男性は同性愛者であるため女性の裸に全く興味がなく、裸にしたことに性的意図がなく、報復のために行ったという場合にも強制わいせつ罪が成立しますか?
婦女を脅迫して裸にし、これを写真撮影しても、自己の性欲を刺激、興奮させ、あるいは満足させる性的意図がなく、もっぱら報復、侮辱又は虐待の目的であるときには、強制わいせつ罪は成立しません(最判昭和45.1.29)。
  • 被害者を単に抱きすくめる行為(名古屋地判昭和48.9.28)
  • 男が女の上に馬乗りになる行為(大阪高判昭和29.11.30)等

これらは、強制わいせつ罪の手段としての暴行行為ではあるものの、それだけではわいせつ行為というには足りない場合が多いと思われます。

12歳の女児に対してわいせつ行為を行いましたが、女児の同意を得ていた場合、強制わいせつ罪は成立しますか?
強制わいせつ罪については、相手が13歳未満である場合には、単にわいせつな行為をしただけで成立します。同意の有無は犯罪成立に影響を及ぼしません。
12歳の女児に対して同意を得てわいせつ行為を行った場合に、被害者を13歳以上であると思っていた場合には、強制わいせつ罪は成立しますか?
被害者が13歳未満であることの認識が必要です(最決昭和44.7.25)。 対象者が13歳以上であると誤信してその同意を得てわいせつ行為に及んだところ、実は13歳未満であったという場合は罪となりません。
13歳以上の未成年者の場合には、暴行・脅迫によるものではなく、相手の同意を得ているのであればわいせつなことをしても犯罪にはなりませんか?
強制わいせつ罪にはなりませんが、相手の未成年者が18歳未満の場合には、淫行条例違反などに問われる可能性があります。

告訴について

告訴とは

被害者その他一定の者が捜査機関に対して犯罪事実を申告して犯人の処罰を求める意思表示です。

強制わいせつ罪は親告罪です(180条1項)
【例外】

※2人以上の者が現場において共同して犯した場合には非親告罪です(180条2項)。
※強制わいせつの罪を犯して、致死傷の結果が生じた場合には非親告罪です(181条1項)。

強制わいせつ罪は、犯罪の性質上、起訴により公開の法廷で審理が行われると、被害者が証人として出廷する場合はもとより、被害者の捜査段階での供述調書が同意書面として取調べられる場合であっても、被害者の名誉が害され、精神的苦痛等の不利益が増大することを考慮するため親告罪とされています。

強制わいせつ罪は、なぜ、親告罪とされているのでしょうか?
強制わいせつ罪は、犯罪の性質上、起訴により公開の法廷で審理が行われると、被害者が証人として出廷する場合はもとより、被害者の捜査段階での供述調書が同意書面として取調べられる場合であっても、被害者の名誉が害され、精神的苦痛等の不利益が増大することを考慮するためです。
なぜ、2人以上の者が現場において共同して犯した強制わいせつの場合及び強制わいせつ致死傷罪の場合には非親告罪とされているのでしょうか?
被害法益の大きさ、罪質の重大さによる処罰の必要性という公益上の理由が、被害者の名誉の重視という理由に優先すると考えられるからです。
犯人がわからなければ告訴することはできないのでしょうか?
必ずしも犯人を指定してその氏名を明記する必要はありません。
しかし、犯罪事実については、概括的であっても特定し得る程度のものである必要があります。
告訴はいつまでにすればよいのでしょうか?
告訴期間はありません。
以前は、犯人を知った日から6ヶ月以内とされていましたが、平成12年の改正によって告訴期間が撤廃されました。
誰が告訴できるのでしょうか?
被害者、被害者の法定代理人、被害者の配偶者、直系の親族、兄弟姉妹、死者の親族および子孫、検察官の指定した者です。
13歳の少女の告訴は有効でしょうか?
告訴人が告訴の意味を理解する能力が必要です。しかし、性犯罪については、被害行為と処罰の意味をある程度理解できる年齢に達しておればよいと思われ、判例も13歳11月の強姦の被害者(最決昭和32.9.26)、13歳7月の強姦未遂の被害者(水戸地裁昭和34.7.1)について告訴能力を認めています。
※ただし、疑義がある場合、実務的には、親権者等の告訴状も併せて徴しているようです。
告訴と被害届は同じものでしょうか?
告訴は、犯罪事実の申告という報告行為と、訴追を求めるという請求行為との複合的な訴訟行為ですが、被害届は犯罪による被害の事実を申告することで、起訴を求める意思がない点で告訴と異なります。
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