強制わいせつ罪強制わいせつきょうせいわいせつ

【強制わいせつ罪】180条1項
強制わいせつ罪は親告罪です

いくつの罪が成立しますか?

電車内で、両手を使い、同時に2人の女性に対して下着の中に手を差し入れ、陰部を弄んだ場合、いくつの犯罪が成立しますか?
強制わいせつ罪が2罪成立し、併合罪となります。
異なる被害者に対して行われた強制わいせつ行為は、仮にそれが同一の機会に行われても、原則として被害者ごとに2つの強制わいせつ罪が成立し、併合罪となります(広島高裁岡山支判昭和48.4.3)。
同一の被害者に対して強制わいせつ行為と強姦行為が行われた場合には、両方の罪が成立するのでしょうか?
裁判例によると、両者を包括して強姦罪の一罪が成立するとされています(東京地判平成元.10.31)。
逮捕・監禁を手段として強制わいせつ罪ないし強姦罪を犯した場合には、両方の罪が成立するのでしょうか?
逮捕・監禁行為がそのまま強制わいせつ罪ないし強姦罪の手段である暴行となっているようなときには観念的競合(1つの行為が同時に2つの罪に該当したとして一体としてみられます。)となることもあるでしょうが、通常は併合罪(2つの罪を犯したとして評価されます。)とされるようです。
わいせつ目的で誘拐し、強制わいせつ行為をした場合は、何罪が成立するのでしょうか?
裁判例では、わいせつ目的の略取・誘拐と強制わいせつの罪とは牽連犯(目的と手段の関係にある罪を考えられます。)としているようです(東京高判昭和45.12.3)。
他人の住居に侵入して強制わいせつ行為を行った場合は、何罪が成立するのでしょうか?
住居侵入罪と強制わいせつ罪の牽連犯になります(強姦罪と住居侵入罪につき、大判昭和7.5.12)。
18歳未満の児童に対して暴行・脅迫によってわいせつ行為をすることが同時に児童に淫行をさせることに当たる場合は、強制わいせつの罪と児童福祉法に定める児童に淫行をさせる罪(同法34条1項6号)にも該当する場合があり得ます。この場合、両罪が成立するのでしょうか?
両罪における保護の重点の置き方の違いからみると、両罪が成立して、観念的競合の関係に立つと思われます。
強制わいせつ罪と青少年保護育成条例における児童と淫行をする罪についての関係性は?
強制わいせつ罪が成立する場合には、青少年保護育成条例における児童と淫行をする罪は、吸収されて強制わいせつ罪のみが成立すると考えられています。
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強制わいせつ罪の捜査上のポイント

初動捜査のポイント

被害者等から、被害直後に被害申告がなされた場合

直ちに現場に急行し、被害者ないし目撃者等から犯人に関する情報(犯人の人相・服装・特徴はもとより、犯人が車両を利用していた場合には、そのナンバー・車種の特徴等)を得て、緊急配備するとともに、現場付近の検挙等が行われるようです。
現場付近及び犯人の逃走経路と目される付近において、聞き込み捜査を行い、犯行時刻ころに不審者を見かけた者や不審な物音等を聞いた者を発見するように捜査が行われます。

現場遺留品等の捜査

犯行現場及び逃走経路と思料される付近から犯人の遺留品を発見し、証拠化しようとします。 遺留品としては、

  • 犯人の所持品、特に刃物等の凶器を使用した犯行においては、当該凶器
  • 犯人が、車両を使用した場合には、当該自動車、自転車盗
  • 犯人の遺留指紋、犯行が屋外の場合には、更に足跡の採取
  • 被害者の着衣等に遺留された唾液等の体液、血痕(犯人が負傷している場合)

※上記『4』について、被害者から、被害当時の着衣、履物等の任意提出を受け、これらに犯人の唾液等の体液や血液等が付着していないか否かを検査されます。
仮に、犯人特定につながる遺留物が発見されない場合でも、被害者の着衣の損傷状況、土泥の付着状況を写真撮影するなどして証拠化することにより、後日、犯行態様につき、被害者と被疑者の供述が異なった場合には、有効に利用することが考えられます。

※遺留品について
犯行1カ月後に告訴された強制わいせつ事案について、犯行当時の犯行現場に赴いたとしても既に遺留品が採取できるとは限られませんし、なにか遺留品と目される物を発見できたとしても、犯行当時から適性に保全されたものではないため証拠として用いることは難しくなるでしょう。
被害者の着衣等についても同様で、時間が経過すれば既に処分している可能性も高くなり、洗濯をするなど当時の現状を留めていないことが多くなります。かりに、そのままの状況で残っていた場合であっても、経年劣化は免れませんし、なにより適性に保全していたことの証明は困難です。

目撃供述について

目撃供述については、信用できるものかどうかが十分に吟味されなければなりません。
特に強制わいせつ罪や強姦罪は、深夜敢行されることが多く、また、被害者は驚愕と恐怖のために、犯人について十分な観察ができていない場合も多いとされているので、目撃供述を捜査機関が聞き取る際には慎重にしなければならないとされています。

目撃供述は、犯行後、最初の目撃供述が決定的な意味を持つ場合が多いので、緊急配備等のためにとりあえず犯人の特徴等を聞いた後に、最初に目撃状況を聴取するときが重要とされます。
   ↓
警察が意識する手順と留意点は以下です。

①犯人の特徴に関する供述を聞く

犯人の慎重、体格、人相、特異な身体的特徴(身体の欠損や傷跡、入墨等)、声の特徴、着衣の特徴(色に関する特徴よりも形状に関する特徴の記憶が鮮明で正確なことが多いとされています)、時計・メガネや装飾具の有無・形状のほか、逃走に使用した車両の特徴等が具体的に聴取されます。

②目撃の条件に関する供述を聞く

現場の状況、照明の程度、目撃距離等のほか、被害者(目撃者)の視力や身体や精神の状況を具体的に聴取し、上記①の目撃供述の信用性につき吟味がなされます。
その上で、目撃現場における実況見分を実施して証拠保全を図られます。

その後、被疑者を確保した場合には、

③写真面割り等を実施する

面割り(犯人と被疑者が同じ人物かどうか(「犯人性」といいます。)を、写真を見せるなどして確認する捜査手法)に使用する写真は、可能な限り多数の対照写真を用意し、犯人の人相とあまりにかけ離れた者は除くとともに、同じ条件で撮影されたものを示すものとされます。
示す際には、必ず、「示した写真の中に犯人がいないこともあり得る。」旨教示し、誘導的な言動は慎み、被害者の記憶を十分に甦らせるように配慮することが信用性を担保するために必要とされます。

なお、被疑者との1対1の面通しは、顔見知りの場合や犯人に連れ回される等目撃時間が長く見間違えるおそれが無い場合を除いて避けるべきであるというのが警察の一応の方針のようです。

被疑者に対する取調べ

【取調べ】
  • 被疑者の妻帯の有無、犯行当時の性交渉(SEX)等の状況
  • 被害者を認めた状況及び犯行に至る経緯

等についてまで具体的に聴取されるようです。

【強姦未遂か、強制わいせつか】

本当は強姦をするつもりだったのですが、姦淫する前に射精してしまいました。逮捕罪名は強制わいせつ罪だったので、このまま強制わいせつ罪について裁判が行われるのでしょうか?
強姦が未遂で捕まった場合には、強姦の意図を否認して強制わいせつのつもりであったと被告人が弁解することが多くあります。
未遂罪は「刑を減軽することができる」と規定されており(刑法第43条)、必ずしも減軽されるわけではありません。
強姦未遂であれば、法定刑は3年以上の有期懲役(刑法177条)を減軽させることができるとなりますが、有期刑の減軽はその長期及び短期を2分の1とします(刑法68条3号)ので、減刑される場合には1年6月以上10年以下の懲役となります。
強制わいせつ罪であれば既遂罪であっても6月以上10年以下の懲役です。
強姦未遂罪となるよりも強制わいせつ罪の既遂となる方が法定刑は軽くなります。そこで、強姦の犯意を否定して強制わいせつとなるような主張を行うのです。

しかし、強制わいせつ罪で逮捕された場合であっても、捜査を進めるうちに強姦未遂であると判断されれば、起訴の際に罪名が変わることはあり得ます。

姦淫するつもりはなかったと主張するだけで強姦の犯意を否定することができるわけではなく、被疑者、被害者双方から具体的な状況を聴取し、被疑者が被害者に接触を図った状況、暴行・脅迫の具体的態様、被害者に対するわいせつ行為についての具体的な態様、接触部位等について強姦の意図があったと言えるか否かを客観的に判断することとなります。
犯人が被害者の下着に手を掛けて脱がせようとした、犯人が暗がりに連れ込もうとした、犯人自身がズボンを脱ごうとしたなどの行為があれば、強姦の犯意を伺わせる行為と判断されます。
顔見知りの場合

犯人と被害者が顔見知りである場合には、同意があった旨主張がされることが多くあります。事件前の交際状況等について十分に聴取がなされ、被害者の承諾を推認させる状況があったかどうかが十分に捜査されます。

顔見知りでない場合

ナンパして意気投合したので大人の関係をもっただけ、という旨の主張がなされることがあります。
特に被害者が酔っぱらっていた場合には注意が必要です。酩酊している者に対してわいせつ行為を行うと準強制わいせつ罪に問わる可能性があります。
被害者の同意があったかどうかは、犯行の時刻や場所、周囲の状況、犯行に至る経緯や具体的プロセス、被害者の年齢や立場、性体験の多寡などによって総合的に判断されます。

捜索・押収について

強制わいせつ事案においては、被疑者宅の捜索がなされることが多いでしょう。
携帯電話やパソコンについては、余罪の有無を調べるために押収されます。
また、性的嗜好を示す物証についても捜索押収がなされます。特に被害者が幼児である場合には、幼児を性的対象とする嗜好を示す雑誌やビデオ、DVD、パソコンに保存された画像などが調べられ押収されます。

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強制わいせつ罪の弁護活動のポイント

被害者供述について

—被害者の調書についておかしな点はないか—

被害者は、犯人に対する憎しみ等の感情から、被害状況を誇張することがあり得ます。
被害者の身体の損傷や着衣等の汚濁・破損状況及び現場の状況などの客観的事実から事実と異なる点のチェックがなされるようです。
被害者の供述調書が複数ある場合には、供述の変遷の有無もチェックできます。裁判では検察官に有利な調書しか請求されないこともありますので、開示請求などをして被告人に有利な調書を引き出すことなども必要です。被害者は、驚愕と恐怖から当時の状況をあまり覚えていないということもあり得ます。捜査官から誘導されて供述をしている可能性もあり、供述の変遷は被害者供述の信用性を失わせる可能性がありますので十分吟味する必要があります。

幼児の供述について

捜査官の調書の作り方ついて

幼児の供述調書作成に当たっては、意味が通じる限り、被害児童が語った言葉をそのまま録取することが重要であり、供述内容を取りまとめた形式ではなく、一問一答式の供述調書を作成することが、信用性確保の意味で望ましいとされているようです。また、幼児の取調べの際に、気持ちを落ち着かせるために、母親等の保護者の立会人がつくこともあります。

     ↓

幼児の供述調書については、
捜査官や母親等の立会人の誘導や影響を受けて、迎合するような供述であったり、記憶が不自然に鮮明すぎる供述がされていたりすることがあるかどうかを留意すべきです。

強制わいせつの示談相場

強制わいせつのような性犯罪の場合には、一般的に被害者の被害感情が大きく示談が難航することが考えられます。
被害者が未成年である場合には法定代理人である親と示談交渉をすることとなります。子供の被害を金銭で解決することに抵抗感を示したり、示談をすることによって、加害者の罪が軽くなることは許せないと考えたりする親が多く、なかなかまとまりにくいようです。

示談金額については、強制わいせつといっても、電車内の痴漢(ちかん)でほんの短時間だけ下着の中に手を入れたような事案から、姦淫行為がないだけでほとんど強姦と変わらないような事案まで様々で、犯行態様や被害状況によって額が異なります。

電車内の痴漢(ちかん)では、同じ痴漢(ちかん)事案でも条例違反の事案よりも強制わいせつの事案の方が示談金は高くなる傾向のようです。
条例違反の場合には、20万円〜30万円程度のことが多いのに比べて、
強制わいせつ罪の場合には、50万円程度のことが多いようです。

強姦に近いような行為がなされた場合には100万円を超えることもあり得ます。

同じ被害者をつけ狙って複数回の犯行に及んだものなど、犯行態様が極めて悪質なものはそれ以上になっています。

強制わいせつ罪と痴漢(ちかん)

痴漢(ちかん)には、犯罪態様によって刑法犯の強制わいせつ罪に当たるものと、各都道府県の迷惑防止条例違反になるものがあります。一般的には、下着の中に手を入れたものは強制わいせつ罪、入れていないものは迷惑防止条例違反という区別がされますが、事案によって例外もあります。

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