• よくある男女トラブル離 婚離婚トラブルり こ ん

    夫婦間のトラブル家庭裁判所に申し立てられた平成21年の婚姻関係事件(夫婦間のトラブル一切を含む)について、その申立て動機にはどのようなものがあるのでしょうか。
  • 離婚のトラブル事例実際に起きたトラブル事例と結果について

    • CASE.1

      こういう時 どうなる?

      こういう時どうなる?

      他に好きな人ができたから離婚したいのですが、どのような理由でも離婚は認められるのでしょうか?

    • CASE.2

      こういう時 どうなる?

      こういう時どうなる?

      離婚をするためには裁判をしなければならないのでしょうか?

    • CASE.3

      こういう時 どうなる?

      こういう時どうなる?

      大学病院勤務の医師であるという男性と結婚しましたが、医師というのは嘘で、大学病院の事務局に勤務しているということが婚姻後に発覚しました。医師でなければ結婚しようとは思わなかったのだから、婚姻自体を取り消すことは出来ますか?

    • CASE.4

      こういう時 どうなる?

      こういう時どうなる?

      夫婦で離婚の話し合いがもたれ、冷静になるために別居することになりました。しかし、専業主婦であったので別居となると生活費に困ります。夫に請求することはできるのでしょうか?

    • CASE.5

      こういう時 どうなる?

      こういう時どうなる?

      夫が家を出て不倫相手と暮らしています。子どものためにも、家に戻って私たちと暮らしてほしいのですが、どうすればよいでしょうか?

    • CASE.6

      こういう時 どうなる?

      こういう時どうなる?

      夫婦の一方に離婚する意思がないにもかかわらず、他方が勝手に離婚届を作成して提出した場合、離婚は成立してしまうのでしょうか?

    • CASE.7

      こういう時 どうなる?

      こういう時どうなる?

      けんかした際にカッとなって離婚届にサインをして相手に渡してしまいました。やはり離婚したくないのですが、相手が離婚届を提出することを阻止することは出来ないのでしょうか?

    • CASE.8

      こういう時 どうなる?

      こういう時どうなる?

      夫から、借金の請求が妻に及ぶのを避けるための方便として形式的に離婚届を提出することを提案されました。

      ①本心から離婚したいわけではない場合の、形式だけの離婚届は有効でしょうか?

      ②妻は形式だけだと思って離婚届に判を押したが、実は夫が他の女性と結婚するために妻を騙していた場合であっても、離婚届は有効でしょうか?

    • CASE.9

      こういう時 どうなる?

      こういう時どうなる?

      子供を嫡出子にすることだけが目的の婚姻は有効でしょうか?

    • CASE.10

      こういう時 どうなる?

      こういう時どうなる?

      子供が欲しいのに夫が全く協力してくれません。年齢的にも限界が迫っているので、いっそ離婚して別の相手を探したいのですが、セックスレスは離婚原因になるのでしょうか?

    • CASE.11

      こういう時 どうなる?

      こういう時どうなる?

      長年妻との関係は冷え切っており、愛人と生活しています。妻は意地でも離婚してやらないと言っていますが、愛人と籍を入れたいと考えています。
      自分で不倫しておいて離婚したいとは虫が良すぎるでしょうか?

    • CASE.12

      こういう時 どうなる?

      こういう時どうなる?

      配偶者がうつ病になってしまったのですが、離婚できるのでしょうか?

    • CASE.13

      こういう時 どうなる?

      こういう時どうなる?

      結婚して10年を過ぎたころから、妻の動作の異常に気づき、診察を受けた結果、国の難病指定に該当する疾患であることがわかり、治癒の見通しが立たないので離婚したいのですができるのでしょうか?

    • CASE.14

      こういう時 どうなる?

      こういう時どうなる?

      妻がアルツハイマーになったので離婚したい。認められるのでしょうか?

    • CASE.15

      こういう時 どうなる?

      こういう時どうなる?

      夫が他の女性とキスをしているのを目撃。1回きりだと言っているが許せない。離婚できるのでしょうか?

    • CASE.16

      こういう時 どうなる?

      こういう時どうなる?

      夫が同性愛に走ったので離婚したい。認められるのでしょうか?

    • CASE.17

      こういう時 どうなる?

      こういう時どうなる?

      妻がわがまますぎるので離婚したい。認められるのでしょうか?

    • CASE.18

      こういう時 どうなる?

      こういう時どうなる?

      夫がアルコール中毒なので離婚したい。認められるのでしょうか?

    • CASE.19

      こういう時 どうなる?

      こういう時どうなる?

      姑の嫁いびりにもう耐えられません。離婚して、慰謝料をもらいたいのですが可能でしょうか?

    • CASE.20

      こういう時 どうなる?

      こういう時どうなる?

      妻が宗教活動にのめり込んでしまい、家事を一切やらずに宗教施設に入り浸るようになったので離婚したい。認められるのでしょうか?

    • CASE.21

      こういう時 どうなる?

      こういう時どうなる?

      相手方と約束を交わした養育費の支払いについて、相手からの支払いを確保するためにはどうしたらよいでしょうか?

    • CASE.22

      こういう時 どうなる?

      こういう時どうなる?

      離婚直後にできた彼氏とすぐにでも結婚したい。問題ありませんか?

    • CASE.23

      こういう時 どうなる?

      こういう時どうなる?

      相手方は養育費を放棄する旨の念書を書いたにもかかわらず、離婚後、養育費に関する請求書が届いた。支払わなければならないのでしょうか?

    • CASE.24

      こういう時 どうなる?

      こういう時どうなる?

      夫が蒸発したのですぐに再婚をしたいのですが、できますか?

    CASE.1こういう時 どうなる? こういう時どうなる?

    他に好きな人ができたから離婚したいのですが、どのような理由でも離婚は認められるのでしょうか?

    双方が離婚に合意しているのであれば、どのような理由であっても離婚することができます。
    しかし、一方のみが離婚を希望し、他方が応じないのであれば、正当な理由がなければ離婚することはできません。

    裁判離婚については、民法で定める以下の離婚原因がなければ認められません。
    • ① 配偶者に不貞行為があった場合
    • ② 配偶者から悪意で遺棄された場合(同居や生活費負担の拒否など)
    • ③ 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
    • ④ 配偶者が極度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
    • ⑤ 上記以外に、婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき

    ※離婚原因があったとしても、裁判所が一切の事情を考慮して離婚の継続を相当と認めるときには、離婚が認められないこともあります。

    他に好きな人ができたというだけの理由であれば、⑤を主張するしかないでしょう。
    しかし、「重大な事由」とは言えないと判断され裁判離婚は通常認められないでしょう。

    なお、話し合いがまとまらず、裁判離婚を考える場合であっても、いきなり訴訟を起こすことは出来ず、まずは調停の申立てをする必要があります。
    調停でも合意に至らない場合にはじめて裁判へ移行します。

    CASE.2こういう時 どうなる? こういう時どうなる?

    離婚をするためには裁判をしなければならないのでしょうか?

    必ずしも裁判による必要はありません。

    離婚の種類は複数あります。必ずしも裁判による必要はありません。

    離婚には以下の種類があります。
    □ 協議離婚
    □ 調停離婚
    □ 審判離婚
    □ 裁判離婚
    裁判だけが離婚の手段ではありません。むしろ、話し合いの余地がなく裁判を起こしたいと思った場合であっても、いきなり訴訟を起こすことはできず、まずは調停の申立てが必要となります。

    □ 協議離婚

    婚姻中の夫婦が離婚の合意をするもので、裁判離婚と異なって法定の離婚原因を必要としません。
    離婚届に必要な事項を記載し、離婚する夫婦及び成年の証人2名がそれぞれ署名・押印して、戸籍役場(届出人の本籍地又は所在地の市役所、区役所又は町村役場)に届出をし、その届出が受理された時点で、離婚が成立します。

    □ 調停離婚

    夫婦間で離婚の合意ができない場合や、離婚の合意はできても、離婚に伴う条件(例えば、親権者の指定、養育費、慰謝料、財産分与など)について合意ができない場合には、配偶者の一方は、他方の配偶者を相手方として、相手方の住所地の家庭裁判所に離婚調停の申し立てをすることになります。

     調停離婚は、協議離婚と同様、夫婦間での合意ができない限り成立しません。合意ができれば、家庭裁判所はその合意事項を調停調書に記載し、その時点で離婚が成立します(家事審判法21条1項)。調停を申し立てた側の配偶者は、調停成立後10日以内に、離婚届書に必要事項を記入し、申立人の欄に署名押印のうえ、調停調書を添えて戸籍役場にこの離婚届を提出します。(申立人が届出をしないときは、相手方が届出をすることができます。)

    □ 審判離婚

    家庭裁判所は、調停に付されている離婚事件について、調停成立の見込みはないが、なお審判が相当であると考えられる事案では、調停委員会の意見を聴いたうえで、「調停に代わる審判」をすることができます(家事審判法24条1項)。
    調停に代わる審判が利用されるのは、

    • ① 離婚について実質的合意ができていても、当事者の一方が遠隔地にいたり、入院、入獄していたりして調停に出席できない場合
    • ② 離婚自体について合意ができていても、親権者・監護権者の指定、養育費、財産分与などの付随的部分について合意ができない場合

    など。

    審判がなされた場合であっても、当事者が審判の告知を受けた日から2週間以内に適法な異議の申し立てをすれば、その審判はすべて効力を失います(家事審判法25条1項、2項)。
    審判に対して適法な異議の申し立てがなければ、その審判は確定し、判決と同一の効力が生じます(家事審判法25条3項)。

    □ 裁判離婚

    裁判所の判決によって離婚すること。

    民法で定める以下の離婚原因がなければ認められません。

    • ① 配偶者に不貞行為があった場合
    • ② 配偶者から悪意で遺棄された場合(同居や生活費負担の拒否など)
    • ③ 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
    • ④ 配偶者が極度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
    • ⑤ 上記以外に、婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき

    ※離婚原因があったとしても、裁判所が一切の事情を考慮して離婚の継続を相当と認めるときには、離婚が認められないこともあります。

    CASE.3こういう時 どうなる? こういう時どうなる?

    大学病院勤務の医師であるという男性と結婚しましたが、医師というのは嘘で、大学病院の事務局に勤務しているということが婚姻後に発覚しました。医師でなければ結婚しようとは思わなかったのだから、婚姻自体を取り消すことは出来ますか?

    民法747条は、「詐欺又は強迫によって婚姻をした者は、その婚姻の取消を家庭裁判所に請求することができる」と規定しています。
    しかし、裁判所の解釈は非常に厳しく、なかなか詐欺や強迫(脅しのうえでの婚姻)を認めません。

    晩酌人から相手が薬剤師の資格を保有していると聞いて婚姻したが、資格を持っているというのが嘘だった事案において、
    「詐欺による婚姻と認められるためには、主観的にも客観的にもその婚姻にとって相当重要な事項につき、その欺罔手段(だますやり方)が相当進んだものであることを要する」として、詐欺を理由とする取消しを認めませんでした(東京地判昭和13.6.18)。

    この判決からすると、年齢や職業、給料や学歴・資格などを偽っていただけでは、詐欺としての取消は困難であることが予想されます。
    他にも、初婚と聞いていたのに離婚歴があった場合なども、これだけを理由に詐欺による取消しは困難と考えられます。
    なお、医師であるということがうそだとわかり、その結果、夫婦仲が悪くなり、回復不可能な程になれば裁判上の離婚事由となる可能性が生じてきます。

    CASE.4こういう時 どうなる? こういう時どうなる?

    夫婦で離婚の話し合いがもたれ、冷静になるために別居することになりました。しかし、専業主婦であったので別居となると生活費に困ります。夫に請求することはできるのでしょうか?

    たとえ別居していても、夫婦や親子に変わりはないので、生活費に困るようなときは、夫婦間の協力扶助義務あるいは婚姻費用分担義務(夫婦生活を送る上で必要な費用の分担)に基づいて、生活費の請求ができます(民法752条、760条)。

    子どもの養育費(教育費も含む)については、自分と同じ程度の生活レベルを保障することになっています。
    夫婦間の場合には、夫婦関係の破綻の程度や破綻に対する責任の有無によって分担の程度が変わってきますし、さらに別居をやめ元の生活を回復する可能性があるかによっても、結論は変わってきます。
    たとえば、妻が愛人のところに走り、別居生活をしているような場合に、妻が夫に対して生活費を請求することができないことは当然でしょう。請求する側に夫婦生活を破綻させた責任がある場合は、権利の濫用として請求は認められません。

    別居をするにあたり、当面の生活費として相手に無断で預金を持ち出してもよいでしょうか?

    勝手に持ち出したことが不法行為(民法709条)に該当するか問題となりますが、これを認めなかった裁判例があります。

    参考裁判例
    横浜地判 昭和52.3.24

    ▽事案の概要
    夫婦である間に蓄えた夫名義の預金の半分を、妻名義に変えて家出した事案。
    ▽判決
    夫から妻に対する損害賠償請求を認めませんでした。
    その使った財産が夫婦の実質的共有財産である場合で、共有の持分を限度に使ったという場合には不法行為にはならないとされたようです。

    参考:婚姻費用分担の簡易計算式

    夫婦間の婚姻費用分担(生活費の分担)の計算方法については、裁判所によって少し異なりますが、裁判官による「東京・大阪養育費研究会」が平成15年に発表した簡易計算方法が、やがて大勢となるものと思われます(厚生労働省雇用均等・児童家庭局長平成15年3月3日通知)。

    分担義務者が単身で生活し、
    権利者が子と同居している場合の分担額の計算のしかた

    養育費はどのくらい支払われているか

    【養育費(月額)】平成21年度司法統計年報より
    子の数1万円以下2万円以下4万円以下6万円以下8万円以下10万円以下10万円超
    1人484136738461611445245200
    2人30876620641612650391380
    3人59168383368117178201
    4人203526221327
    5人以上

    ※表の数字は件数

    CASE.5こういう時 どうなる? こういう時どうなる?

    夫が家を出て不倫相手と暮らしています。子どものためにも、家に戻って私たちと暮らしてほしいのですが、どうすればよいのでしょうか?

    夫婦は、お互いに話し合って決めた住所で一緒に暮らす義務があります(民法752条)。
    正当な理由がないにもかかわらず、夫婦の一方が家を出て別居したような場合には、家に戻って同居するように求める権利があります。

    夫婦間の話し合いで解決しない場合には、家庭裁判所に調停を申し立てることも可能です。調停でも決まらない場合には、家庭裁判所に対し、同居を命じる審判を出すよう求めることもできます。
    しかし、たとえ同居命令が出たとしても、夫に対して無理やり同居を強制させることはできません。
    そもそも、夫の決意が固く、夫婦としての共同生活が取り戻せる可能性が全くないとされたり、同居によって、かえってお互いを傷つけある結果になる可能性が高いとして、裁判所が同居請求を認めない場合もあります(東京家審昭和44.8.20)。

    CASE.6こういう時 どうなる? こういう時どうなる?

    夫婦の一方に離婚する意思がないにもかかわらず、他方が勝手に離婚届を作成して提出した場合、離婚は成立してしまうのでしょうか?

    刑法(その他特別法)上の問題

    勝手に離婚された件について

    配偶者の同意を得ずに無断で離婚届を作成し、提出する行為は、有印私文書偽造罪と同行使罪(刑法159条)が成立します。
    役所の公的データに不実の内容を記録させることにもなるので、手続きがなされると電磁的公正証書原本不実記録罪(刑法161条の2)、手続きが完了していなければ同未遂罪も成立する可能性があります。

    再婚していたら

    勝手に離婚届を提出するだけでなく、別の女性と再婚の為に婚姻届を提出していた場合はどうでしょうか。
    元妻には離婚の意思がないので、夫が勝手に提出した離婚届は無効であって離婚は成立しません。そうであるにもかかわらず、再婚のための婚姻届を提出した場合には、重婚となります。
    重婚について、刑法184条は「配偶者のある者が重ねて結婚したときは2年以下の懲役に処す」と規定し、刑事的制裁が加えられます。
    もし後婚の妻が、前婚の離婚が無効であることを知っていれば、後婚の妻も「その相手方となって婚姻した者も同様とする」(同条)とされ、重婚罪に問われます。

    実際にあった事件&ニュース

    【夫に無断で離婚届、勝手に氏名書き押印・・・逮捕】2012.5.30 読売新聞

    夫(52)の同意なく離婚届を作成し、香川県三豊市役所に提出したとして、三豊署は29日、同市豊中町の無職の女(40)を有印私文書偽造と同行使、電磁的公正証書原本不実記録未遂の容疑で逮捕しました。
    女は夫と数年間交際し、昨年に結婚したばかりでした。
    発表によると、女は昨年12月19日、自宅で、離婚届の夫の欄に勝手に氏名を書き入れ、押印して偽造し、市役所に提出した疑い。
    夫が「知らないうちに離婚届を出された」と同署に届け出ました。

    民法上の問題

    勝手に離婚された件について

    離婚が有効に成立するためには、離婚届を提出する時点で、双方に離婚の意思(届出意思)がなければなりません。
    夫婦のどちらか一方に離婚する意思がなければ、他方が勝手に離婚届を作成して届をしたとしても、この届は無効であり、離婚は成立しません。
    ただし、戸籍に離婚と記載されてしまった場合、それを訂正、抹消するというのは簡単ではありません。

    家庭裁判所に離婚無効の調停を申し立てます。
    調停において相手が非を認めれば離婚が無効であることを確認する審判が下ります。しかし、相手が双方納得の上の届出だと主張し争ってくると調停では話がまとまらない場合があります。その場合、家庭裁判所に離婚無効の確認を求める訴訟を起こすこととなります。

    審判または判決で離婚の無効が確認されたら、その謄本を添えて市区町村に戸籍に訂正を申請します。これにより、ようやく離婚の記載が抹消されます。

    偽造の離婚届によって虚偽の記載が戸籍になされても、離婚無効の判決等を添えて、虚偽記載のない戸籍の再製の申し出をすることができます(戸籍法11条の2)。
    これにより、いわゆる「汚れた戸籍」をまっさらにすることができるのです。

    再婚していたら

    夫が勝手に離婚届を提出しても無効となりますので、その後再婚のための婚姻届を提出していた場合には重婚となります。
    民法は一夫一婦制を採り「配偶者のある者は、重ねて婚姻をすることができない」(民法732条)とし、重婚であれば婚姻届を受理してはならないことになっています(民法740条)。
    しかし、離婚が無効であることについて役所の人間が知る由もないため、再婚についての婚姻届を事務的に受理してしまうことが考えられます。
    その場合は後婚の当事者、その親族、検察官または前婚の配偶者は後婚の婚姻の取消を裁判所に求めることができます(民法744条)。

    CASE.7こういう時 どうなる? こういう時どうなる?

    けんかした際にカッとなって離婚届にサインをして相手に渡してしまいました。やはり離婚したくないのですが、相手が離婚届を提出することを阻止することは出来ないのでしょうか?

    まだ離婚届が提出されていなければ、市区町村役場へ『離婚届の不受理申出書』を提出しておけば、後で提出された離婚届は受け付けられず、離婚をストップすることができます。

    家を出て女と暮らしている夫が勝手に離婚届を作成して提出してしまうのではないかと気が気ではない場合、どうすればよいでしょうか?

    市区町村役場に備え付けられている「離婚不受理届」を提出しておくことができます。
    配偶者から離婚届を出して受け付けられても、職権で抹消してもらえます。
    不受理届を知らなかったために、勝手に作られた離婚届が受け付けられると戸籍上は離婚したことになります。もちろん、一方に離婚意思がないのだから無効ですが、調停、だめなら裁判で決着をつける必要が生じます。

    ※離婚不受理申出の有効期間は、平成20年5月以降は無期限となりました。

    CASE.8こういう時 どうなる? こういう時どうなる?

    夫から、借金の請求が妻に及ぶのを避けるための方便として形式的に離婚届を提出することを提案されました。

    ①本心から離婚したいわけではない場合の、形式だけの離婚届は有効でしょうか?

    ②妻は形式だけだと思って離婚届に判を押したが、実は夫が他の女性と結婚するために妻を騙していた場合であっても、離婚届は有効でしょうか?

    ① について

    離婚の有効性

    離婚には、離婚意思と届出が必要です。
    離婚意思について、愛情がなくなったからではなく借金の取立てをかわすためという理由であっても、「離婚する」という意思は虚偽や強要によるものではなく妻の意思です。
    離婚届も提出したのであれば、離婚は有効に成立しています。

    判例も、後でたとえ本心からの離婚ではなかったと主張しても、離婚は有効に成立するという立場をとっています(最判昭和57.3.16)。

    債権者から財産を守ることができるか

    では、借金をした夫自身の財産を守るために、妻に譲渡して離婚ということは可能でしょうか。
    例えば、唯一の財産である不動産について、債権者に渡したくない場合に離婚によって解決できるのでしょうか。

    夫婦が離婚する場合、夫婦の協力によって築いた財産について分与します(財産分与)。
    今回の事例では財産が不動産しかないとのことですが、財産分与として妻名義に所有権移転登記がなされたとしても、その価値が妥当な価額である場合には、第三者たる債権者のねらいとする財産が減少あるいはゼロになってしまうときでも、財産分与は有効とされます。

    しかし、婚姻の実質関係を解消する意思ではなく、債権者からの強制執行を受けることを免れること、それにより夫の財産を形式的に法律上の婚姻関係のみを解消させる目的で不動産の所有権移転登記をするのであって、このような譲渡は仮装譲渡であり、法律的には通謀虚偽表示(民法94条)とされて無効となります(東京地判昭和45.9.2)。

    財産分与制度の趣旨から、不相当な多額の財産分与が行われる場合には、第三者たる債権者は、不相当部分について分与を詐害行為(民法424条)として裁判所で取り消すことが可能です(最判平成12.3.9)。

    ② について

    「離婚する」という意思が夫に騙されたことによるものであるため、離婚が無効となる可能性があります。
    また、夫が妻を騙して離婚させているので、詐欺による離婚として、離婚の取消を求めることもあり得ます。

    夫が、妻には債権者からの借金請求を免れるためだからと離婚届にハンコを押させて別居をし、1月後に目的の別の女性との婚姻届を出したというケースでは、このような協議離婚は妻に対する詐欺であるとして、協議離婚の取り消しを認めています(長野地判昭和46.2.26)。

    CASE.9こういう時 どうなる? こういう時どうなる?

    妻子と別に妾がおり、妾が妊娠した際に、「妻になろうとは思わないし、今後は会う必要もないが、子どもが私生児になるのはかわいそうだから、結婚届だけ出させて欲しい」旨頼まれました。妻に頼んで一時的に離婚してもらい、妾と結婚届を提出しました。しかし、妾は翻意し、やはり子供が父なし子になるは不憫だから離婚はしないと言っています。
    子供を嫡出子にすることだけが目的の婚姻は有効でしょうか?

    婚姻は有効か無効か

    婚姻届が提出されても、結婚する意思がなければ無効とされます(民法742条1項)。

    【CASE.9】において、男性は、妾との婚姻届を提出することについては同意しています。しかし、いわゆる共同体としての結婚生活を送る意思はありません。この場合に「結婚する意思」があると言えるのでしょうか?

    「結婚する意思」について

    判例では、「たとえ婚姻の届出自体については当事者間に意思の合致があったとしても、それが単に子に嫡出子としての地位を得させるための便法としてなされたものにすぎないときは、婚姻の効力を生じない」と判断しています(最判昭和44.10.31)。

    単に子供を嫡出子にするためだけの婚姻は、無効となります。

    婚姻の無効を正すには

    妾が離婚届の提出に応じてくれない場合、男性が単独での離婚をすることはできません。
    そこで、婚姻無効の裁判手続きをとることになります。
    相手方の住所地あるいは合意で定める地の家庭裁判所に婚姻無効の調停審判を求める申立てをしましょう。調停において当事者間で話がまとまれば、裁判所は、合意に相当する審判をします(家事審判法23条)。

    調停で合意が成立しなければ、調停は不調に終わり、地方裁判所へ婚姻無効の訴えを起こすことになります。

    CASE.10こういう時 どうなる? こういう時どうなる?

    子供が欲しいのに夫が全く協力してくれません。年齢的にも限界が迫っているので、いっそのこと離婚して別の相手を探したいのですが、セックスレスは離婚原因になるのでしょうか?

    離婚は夫婦の合意があれば問題なくできます。
    しかし、一方が離婚に合意しない場合、裁判離婚が出来るか否かが問題となります。

    裁判離婚については、民法で定める以下の離婚原因がなければ認められません。

    ①配偶者に不貞行為があった場合
    ②配偶者から悪意で遺棄された場合(同居や生活費負担の拒否など)
    ③配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
    ④配偶者が極度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
    ⑤上記以外に、婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき

    ※離婚原因があったとしても、裁判所が一切の事情を考慮して離婚の継続を相当と認めるときには、離婚が認められないこともあります。

    セックスレスの定義

    「特別な事情が認められないにもかかわらず、カップルの合意した性交渉(SEX)あるいはセクシュアルコンタクトが1ヵ月以上なく、その後も長期にわたることが予想された場合」(日本性科学会による)

    「夫婦間の性的交渉は夫婦生活に伴う健康な営みで、夫婦のあり方として大切なもの」として、裁判所もその重要性を認めています。セックスレスでも、お互いの同意があれば全く問題はありませんが、どちらかの性交渉(SEX)の拒否が長期間に及ぶ場合には、婚姻関係が継続し難い重大な事由にあたるとして、離婚が認められる傾向にあります。
    但し、性交渉(SEX)の拒否理由が、事故や病気などの理由により身体的・精神的に性交(SEX)が不能である、高齢のため性交(SEX)が不能である場合などはこの限りではありません。
    性交(SEX)が一時的に不能であるが、今後治療等により改善が見込めるのに相手に改善しようとする意志がない場合は、協力義務違反として離婚原因になることもあります。

    夫がEDの場合

    夫がED(勃起不全・インポテンツ)であることを理由に妻が離婚を請求することはできるでしょうか?
    EDを隠して結婚したのであれば、それは離婚理由になり、慰謝料の請求が認められる場合もあります。しかし、結婚した後で発症したのであれば他の病気と同じと見られ、相手が合意しなえれば離婚は難しいでしょう。

    正しい治療を受け続けているが、症状が改善されない場合や、妻が協力しているのにもかかわらず、夫が治療に消極的、などで離婚を望む場合は、EDだけを問題にするのではなく、夫婦関係がぎくしゃくしていることも合わせて、離婚を希望する旨を主張する方がよいでしょう。

    参考裁判例
    福岡高判 平成5.3.18

    夫が性交渉(SEX)を拒否
    ▽事案の概要
    夫は交際と称して好き勝手に出歩いていました。生活費にも事欠く状態のときに、夫は妻と話し合いの機会をもちませんでした。夫も多忙だったとはいえ、家庭を顧みて妻の不満を解消する努力が十分ではありませんでした。
    性交渉(SEX)は入籍後約5か月以内に2,3回と極端に少なかったとのこと。性交渉(SEX)がない中、妻自身はポルノビデオを見て自慰行為をしていました。「性生活に関する夫の態度は異常だ」と指摘する妻に対して、夫は一旦は改善を約しながら依然として改めておらず、妻は夫への愛情を喪失し、婚姻生活を継続する意思が全くありません。
    ▽判決
    婚姻生活は既に破綻しており「婚姻を継続し難い重大な事由」がある、として夫に慰謝料120万円の支払いを命じました。

    京都地判 平成2.6.14

    夫が性交渉(SEX)をしない
    ▽事案の概要
    婚姻期間約3か月。夫が性交渉(SEX)に及ばなかった真の理由は明らかでない。夫は性交渉(SEX)のないことに妻が悩んでいたことを全く知らなかったと主張。夫は夫婦が性交渉(SEX)をする思いが及ばなかったか、もともと性交渉(SEX)をする気がなかったか、あるいは夫に性的能力について問題があるのではないか、と疑わざるを得ないとの事案です。
    ▽判決
    離婚の原因は、夫が性的交渉を持たなかったことにある。離婚による妻が多大な精神的苦痛を被ったことは明らかであり、夫は妻に対して慰謝料500万円の支払いをする義務があるとしました。

    岡山地裁津山支判 平成3.3.29

    病的な性嫌悪感
    ▽事案の概要
    夫31歳、妻27歳(ともに再婚同士)。妻は異性に触られると「気持ちが悪い」と言い、婚姻当初から別居に至るまで性交渉(SEX)を拒否し続けていました。性交渉(SEX)がないため、喧嘩が絶えず、夫婦生活が破綻していました。妻は、精神的な面で性交渉(SEX)に耐えられない、と医者から診断されていたとのこと。妻は、前夫との婚姻の時も性交渉(SEX)を拒否しており、慰謝料100万円を支払って別れていました。夫婦は結婚後9か月で協議離婚をし、夫は妻に対して慰謝料の請求をしました。
    ▽判決
    妻の男性との性交渉(SEX)に耐えられない性質から来る夫との性交渉(SEX)拒否により両者の融和を欠いて破綻するに至ったものである。
    婚姻は一般に子孫の育成が重要な目的であることが常識であって、夫婦間の性交渉(SEX)もその意味では通常伴うべき婚姻の営みであり、当事者がこれに期待する感情を抱くのも極当たり前の自然の発露である。
    妻は夫と婚姻しながら性交渉(SEX)を拒否し続け、「気持ち悪い」というような言動・行動に及ぶなどして婚姻を破綻させたのであるから、夫に対し、不法行為責任に基づき、精神的苦痛を慰謝すべき義務がある。
    夫に認められるべき慰謝料額は、本件に顕れた一切の事情を総合勘案し、金150万円が相当であると認められました。

    京都地判 昭和62.5.12

    性交(SEX)不能を隠して結婚
    ▽事案の概要
    結婚から離婚までの約3年6か月の間に一度も性交渉(SEX)はありませんでした。夫の性的不能を治すため、大学病院等で診察を受けたが性的不能状態に変化はなかったとのこと。夫は、婚姻に当たり自らが性的不能であることを隠していました。
    ▽判決
    「婚姻を継続し難い重大な事由」とは、婚姻中における両当事者の行為や態度、婚姻継続の意思の有無など、当該婚姻関係にあらわれた一切の事情からみて、婚姻関係が深刻に破綻し、婚姻の本質に応じた共同生活の回復の見込みがない場合をいう。
    婚姻が男女の精神的・肉体的結合であり、そこにおける性関係の重要性に鑑みれば、病気や老齢などの理由から性関係を重視しない当事者間の同意があるような特段の事情のない限り、婚姻後長年にわたり性交渉(SEX)のないことは、原則として、婚姻を継続し難い重大な事由に当たるというべきである。
    夫が婚姻するに際し、自己が性的に不能であることを隠していたこと、夫の性的不能及びこれに基因する婚姻生活の破綻により妻が精神的苦痛を被ったことが認められる。
    婚姻生活における性関係の重要性、さらには、性交(SEX)不能は子供をもうけることができないという重大な結果に直結することに照らすと、婚姻に際して相手方に対し自己が性的不能であることを告知しないということは、信義則に照らし違法であり不法行為を構成する。
    妻の慰謝料については金200万円の限度で理由があるから認容する。
    との判断がなされました。

    最判 昭和37.2.6

    交際の期間中に副睾丸結核のため睾丸を切除し、医師は夫婦生活には影響がないと言っていましたが、1年半近く性交渉(SEX)がまるでなかった場合に破綻を認めました。

    東京高判 昭和52.5.26

    交通事故により重度障害者となった夫に対する妻の離婚請求につき、妻が夫との離婚関係継続の意思を完全に喪失しているとして、離婚を認めたケースがあります。

    CASE.11こういう時 どうなる? こういう時どうなる?

    長年妻との関係は冷え切っており、愛人と生活をしています。妻は意地でも離婚してやらないと言っていますが、愛人と籍を入れたいと考えています。自分で不倫しておいて離婚したいとは虫が良すぎるでしょうか?

    離婚は夫婦の合意があれば問題なくできます。
    しかし、一方が離婚に合意しない場合、裁判離婚が出来るか否かが問題となります。

    裁判離婚については、民法で定める以下の離婚原因がなければ認められません

    ①配偶者に不貞行為があった場合
    ②配偶者から悪意で遺棄された場合(同居や生活費負担の拒否など)
    ③配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
    ④配偶者が極度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
    ⑤上記以外に、婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき

    ※離婚原因があったとしても、裁判所が一切の事情を考慮して離婚の継続を相当と認めるときには、離婚が認められないこともあります。

    有責主義から破綻主義へ

    かつて、不貞など一定の有責事由がある場合のみ、他方の配偶者が離婚請求できる方式でした。
    妻ある夫が他の女性と関係を持ち、それが原因で婚姻生活を破綻させた場合、有責配偶者として扱われ、夫からの離婚請求は認められませんでした(最判昭和27.2.19)。

    しかし、実際には夫婦関係が破綻している場合にまで、配偶者の意地だけで離婚が認められないとすると、冷めた夫婦関係を永続せざるをえなくなります。それは法の求めるところではありません。そこで、夫婦関係が破綻した場合には離婚を認めようとする方式に変わってきました。

    “有責配偶者からの離婚”について最高裁は、
    ① 別居の期間が長期間におよぶこと
    ② 未成熟の子が存在しないこと
    ③ 相手方配偶者が離婚により精神的、社会的、経済的に過酷な状態におかれるなど、離婚を認めることが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情がないこと。
    以上を満たすときに、離婚が認められることがあるようです。

    「別居の期間が長期間におよぶこと」とは、別居の期間が8年で認められた場合もありますし、同じく8年で認められなかった場合もあります。

    参考裁判例

    有責配偶者からの離婚請求が認められた裁判例

    東京高判 平成14.6.26

    夫は有責配偶者で、別居期間は6年以上、二人の子も成人して大学を卒業していて夫婦間に未成熟の子供がいないこと、妻は学校に勤務して相当の収入を得ていること、夫は、離婚に伴う給付として妻に自宅建物を分与し、同建物について残っているローンも完済し続けるとの意向を表明している事情に考慮し、離婚請求を認めました。

    最高裁 平成5.11.2

    別居期間が9年8か月の妻(有責配偶者)からの離婚請求が認められ、妻から夫へ慰謝料200万円、夫から妻へ財産分与700万円が認められています。

    最判 平成6.2.8

    有責配偶者である夫からされた離婚請求であっても、別居が13年余に及び、夫婦間の未成熟の子は3歳の時から一貫して妻の監護の下で育てられて間もなく高校を卒業する年齢に達していること、夫が別居後も妻に送金をして子の養育に無関心ではなかったこと、夫の妻に対する離婚に伴う経済的給付も実現が期待できることなど判示の事実関係の下においては、右離婚請求は、認容されるべきであるとされました。

    有責配偶者からの離婚請求が認められなかった裁判例

    東京高判 平成20.5.14

    有責配偶者である夫からの離婚請求につき、別居期間が15年以上経過し、当事者間の3人の子供はいずれも成年に達しており、夫婦間の婚姻関係は既に破綻しているが、妻は夫から婚姻費用分担金の給付を受けることができなくなると経済的に窮境に陥り、罹患する疾病に対する十分な治療を受けることすら危ぶまれる状況になることが容易に予想されるとともに、長男については、身体的障害及びその成育状況に照らすと後見的配慮が必要と考えられ、夫の長男に対する態度からすると、離婚請求が認容されれば、妻が独力で長男の援助を行わなければならず、妻をさらに経済的・精神的窮状へ追いやることになるとの事情の下においては、離婚請求を認容することは、妻を精神的、社会的、経済的に極めて過酷な状態におくことになり、著しく社会正義に反し許されないとされました。

    CASE.12こういう時 どうなる? こういう時どうなる?

    配偶者がうつ病になってしまったのですが、離婚できるのでしょうか?

    離婚は夫婦の合意があれば問題なくできます。
    しかし、一方が離婚に合意しない場合、裁判離婚が出来るか否かが問題となります。

    裁判離婚については、
    民法で定める以下の離婚原因がなければ認められません

    ①配偶者に不貞行為があった場合
    ②配偶者から悪意で遺棄された場合(同居や生活費負担の拒否など)
    ③配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
    ④配偶者が極度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
    ⑤上記以外に、婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき

    ※離婚原因があったとしても、裁判所が一切の事情を考慮して離婚の継続を相当と認めるときには、離婚が認められないこともあります。

    民法770条は、配偶者が強度の精神病にかかり、回復が見込めない場合は、離婚原因として認められる旨定めています(第4号)。
    「強度の精神病」とは夫婦生活がなりたたない程の状態にあることです。
    離婚の原因として認められるのは、早発性痴呆、麻痺性痴呆、躁鬱(そううつ)病、初老期精神病、偏執病などであり、アルコール中毒、薬物中毒、ノイローゼなどは離婚原因として認められません。

    回復の見込みがあるかどうかは、専門家の鑑定次第ですが、離婚が認められるためには、以下のような条件を満たす必要があります。
    ・長期間に渡る治療を行っていること
    ・これまで誠意的に面倒をみてきたこと
    ・離婚後の看病についての見通しがあること

    ただし、「夫婦には相互扶助の義務があり、配偶者が精神病になったからといって扶助義務がなくなることはない」というのが裁判所の見解であり、現在、精神病を理由に離婚を認めることに積極的な判例はありません。

    CASE.13こういう時 どうなる? こういう時どうなる?

    結婚して10年を過ぎたころから、妻の動作の異常に気づき、診察を受けた結果、国の難病指定に該当する疾患であることがわかり、治癒の見通しが立たないので離婚したいのですができるのでしょうか?

    離婚は夫婦の合意があれば問題なくできます。
    しかし、一方が離婚に合意しない場合、裁判離婚が出来るか否かが問題となります。

    裁判離婚については、
    民法で定める以下の離婚原因がなければ認められません

    ①配偶者に不貞行為があった場合
    ②配偶者から悪意で遺棄された場合(同居や生活費負担の拒否など)
    ③配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
    ④配偶者が極度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
    ⑤上記以外に、婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき

    ※離婚原因があったとしても、裁判所が一切の事情を考慮して離婚の継続を相当と認めるときには、離婚が認められないこともあります。

    教会で結婚式を挙げた人なら、おそらく神様の前で誓いを立てたのではないでしょうか。
    「その健やかなるときも、病めるときも、・・・」

    しかし、いざ苦境に立たされると逃げたくなる人は多いようです。
    予期しない病気・事故によって重大な身心障害を招き、家庭生活における夫または妻としての通常の役割が果たせなくなったとき、「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当して、離婚が認められるかどうかは判例も分かれていて、一概には決められないのが現状です。

    離婚を認める場合は、「健常な配偶者が献身的に介護にあたり、夫婦のきずなを保ち続けるという事例があることは事実ですが、このような行為は美談として称賛されるものではあっても、法的に強制することまではできません。、あるいは、事実を受け入れるには自分の許容範囲を超えているということもあながち否定できないもので、強く非難されるべきとも言い難い面があります。離婚してはいけないと婚姻関係の継続を強制することは生涯犠牲を求める結果となりかねず、夫婦の平等な相互協力を本旨とする婚姻の理念に照らして妥当でない」という判断をします。

    離婚を認めない場合は、症状にもよりますが、「病気になることは想定の範囲内であり、それも含めて一生添い遂げる意思で婚姻をした以上、婚姻生活の継続を希望する病者の意思を尊重すべきとします。重い症状になって、日常生活の役に立たなくなったからという理由だけで、離婚をすることは妥当でない」と判断します。

    治療費負担、扶養的財産分与の方法が重要なポイントになります。
    民法は、離婚原因として、「配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき」を定めていますが(770条1項4号)、最高裁判所は、「不治の精神病になっても、病者の今後の療養、生活について、できるだけ具体的な方法を講じ、入院見込み期間、財産状態などからみて、病者の前途に、ある程度、療養、生活の見込みがついた上でなければ離婚を認めない」という厳しい姿勢です。
    不治の精神病とまでは認められないような重篤な病気、障害の場合は、1項5号の「婚姻を継続し難い重大な事由」を理由に離婚を認めることになりますが、この場合も、病者の療養、生活に対する配慮が必要です。
    離婚を認めた判決も、相当の期間看病・介護にあたり、疲労困憊に至った果ての請求であったり、妻が10年以上精神病で入退院をくり返した期間医療費を負担してきた夫に、更に1000万円の扶養的要素の濃い財産分与の支払いを命じたりしています。ただし慰謝料を支払う義務はないと判断しました。

    CASE.14こういう時 どうなる? こういう時どうなる?

    妻がアルツハイマーになったので離婚したい。認められるのでしょうか?

    離婚は夫婦の合意があれば問題なくできます。
    しかし、一方が離婚に合意しない場合、裁判離婚が出来るか否かが問題となります。

    裁判離婚については、
    民法で定める以下の離婚原因がなければ認められません

    ①配偶者に不貞行為があった場合
    ②配偶者から悪意で遺棄された場合(同居や生活費負担の拒否など)
    ③配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
    ④配偶者が極度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
    ⑤上記以外に、婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき

    ※離婚原因があったとしても、裁判所が一切の事情を考慮して離婚の継続を相当と認めるときには、離婚が認められないこともあります。

    アルツハイマー、老人性痴ほう症のような病気を原因とする離婚請求が、民法770条1項4号に定める精神病離婚に該当するでしょうか。
    精神病離婚の場合には、「強度」の精神病であるという厳しい条件が必要なためこれに該当しない場合も多く、同条1項5号の「婚姻を継続しがたい重大な事由」により、請求するケースもあります。

    この場合には、夫婦生活がすでに破綻していることが、離婚が認められる要件となります。

    たとえば、老夫婦2人の生活の場合には、他の配偶者に過度の負担や犠牲を強いる結果をも招きやすく、その結果として、夫婦共同生活が破綻しているとみられるケースが多いでしょう。
    判例では、強度の精神病というだけでは離婚は認められず、精神病者の今後の療養や生活について、できるかぎり具体的な方法を講じ、将来の目途がついた上でなければ、離婚は認めないとしています。


    判例で精神病離婚の対象とされる精神病は統合失調症(かつての精神分裂病)、早発性痴呆症、躁鬱(そううつ)病、偏執病、初老期精神病などの強度な精神病です。アルコール中毒、モルヒネ中毒、ヒステリー、神経衰弱症などは強度の精神病には当たらないとされています。
    精神病離婚についての最高裁の判例は、「病者の今後の療養、生活等についてできるかぎり具体的な方策を講じ、その見込み」があることとの判断が示されて以来、これを踏襲する判例が出されました。

    参考裁判例

    アルツハイマー病を理由にした離婚請求で、「4号(強度の精神病)に該当するかは疑問であるが、本件では妻が24時間完全介護施設である特別養護老人ホームに入所していること、夫が離婚後も妻の後見人となり、若干の経済的援助や面会を考えていること」を考慮し、同5号(婚姻を継続し難い重大な事由)に該当する」として離婚を認めました。

    長野地判 平成2.9.17

    ▽事案の概要
    夫(42歳)、妻(59歳)、結婚生活20年、子供なし。
    結婚後、11年目から妻が就寝中に失禁したり、自宅がわからなくなったりしたとのこと。
    その2年後、病院では、アルツハイマー病とパーキンソン病と診断されました。
    その後さらに症状は悪化し、寝たきりの上、夫と他人との区別もできなくなり、また言葉も不明瞭となり日常会話もできなくなりました。夫が10年間介護し、民生委員の尽力で、全額公費負担の完全介護老人ホームに入所できたという事情があります。
    ▽判決
    裁判所は、妻の病気が精神病に該当するかどうかは疑問が残るが、長期間にわたり夫婦間の協力義務をまったく果たせないでいることなどによって、婚姻関係は破綻していることは明らかであること、さらに夫が離婚後も若干の経済的援助および面会を考えており、全額公費負担の老人ホームでの介護を得られることを考慮して、離婚を認めました。

    手続きについて

    強度の精神疾患の場合、本人に判断能力がないわけであって、家庭裁判所に成年後見人を選任してもらい、この後見人を相手に手続を進めることになります。
    後見人には配偶者が選ばれるのが通常ですが、そうすると自分が自分を相手に訴訟を起こすことになってしまうので、この場合は、後見監督人を同時に選任してもらい、この後見監督人を相手に訴訟をおこすことになります。

    CASE.15こういう時 どうなる? こういう時どうなる?

    夫が他の女性とキスしているのを目撃。1回きりだと言っているが許せない。離婚できるのでしょうか?

    離婚は夫婦の合意があれば問題なくできます。
    しかし、一方が離婚に合意しない場合、裁判離婚が出来るか否かが問題となります。

    裁判離婚については、
    民法で定める以下の離婚原因がなければ認められません

    ①配偶者に不貞行為があった場合
    ②配偶者から悪意で遺棄された場合(同居や生活費負担の拒否など)
    ③配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
    ④配偶者が極度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
    ⑤上記以外に、婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき

    ※離婚原因があったとしても、裁判所が一切の事情を考慮して離婚の継続を相当と認めるときには、離婚が認められないこともあります。

    キスは①「不貞行為」として離婚事由になるのでしょうか。
    「不貞行為」とは、どのような行為をさすのでしょうか。

    一般的に裁判では、「不貞行為」とは、配偶者のある者が自由な意思に基づいて、配偶者以外の異性と性的関係を持つ行為、つまり性行為(SEX)があったことを意味します。
    性行為(SEX)がないプラトニックな浮気や、キスだけにとどまっている場合は、不貞な行為があったとして離婚を求めることは難しいです。

    性行為(SEX)が1回だけであっても、離婚の原因になってしまうのでしょうか。

    裁判所は、1度の性行為(SEX)だけで離婚を認めることはまずありません。
    下級審判例の中には、2ヵ月に及ぶ異性関係を「一時の迷と考えられぬことはない」として、不貞行為の成立を否定した例もあります(名古屋地判昭和26.6.27)。
    さらに、不倫相手との継続的な性行為(SEX)など、不貞な事実がある場合でも、ただちに離婚が認められるのではなく、裁判所が「一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるとき」は、離婚請求は棄却されます。
    例えば、不貞行為があっても夫婦関係が破綻するに至らなかったか、破綻したが回復する見込みがある、若しくは、不貞を許した場合などです。

    しかし、たとえ1回の性行為(SEX)であっても、またはキスであっても、信頼関係を喪失したと考え、夫婦関係を続けていくことが不可能な場合には、⑤「婚姻を継続し難い重大な事由」として検討されることになります。
    ただし、「重大な」とあるように、共同生活をすることが到底無理であるといえる程に夫婦関係が破綻していなければ、裁判所に認めてもらえません。
    実際には1回の性行為(SEX)やキスのみであれば「婚姻関係を継続し難い」とは認められません。

    CASE.16こういう時 どうなる? こういう時どうなる?

    夫が同性愛に走ったので離婚したい。認められるのでしょうか?

    離婚は夫婦の合意があれば問題なくできます。
    しかし、一方が離婚に合意しない場合、裁判離婚が出来るか否かが問題となります。

    裁判離婚については、
    民法で定める以下の離婚原因がなければ認められません

    ①配偶者に不貞行為があった場合
    ②配偶者から悪意で遺棄された場合(同居や生活費負担の拒否など)
    ③配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
    ④配偶者が極度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
    ⑤上記以外に、婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき

    ※離婚原因があったとしても、裁判所が一切の事情を考慮して離婚の継続を相当と認めるときには、離婚が認められないこともあります。

    同性愛行為は、①「不貞行為」に当たるのでしょうか。
    「不貞行為」とは、最高裁によれば、「配偶者のある者が、自由な意思に基づいて、配偶者以外の者と性的な関係を結ぶ場合をいう」としています。
    夫が同性愛に走り配偶者以外の者と性的な関係を結ぶ場合には上記の「不貞行為」に該当します。また、たとえ同性との性的な関係がなくとも、夫の趣向が同性愛になったことで、妻からの性的要求に応じなくなったのであればやはり⑤婚姻を継続し難い重大な事由に該当するとして離婚事由になります。
    実際に夫が同性愛に走ったことにより、妻からの離婚請求が認められた事案があります。

    異常な性的嗜好を理由とする離婚

    他にも、配偶者の異常な性欲、異常な性的嗜好などは⑤婚姻を継続し難い重大な事由にあたるとされます。

    参考裁判例

    ▽事案の概要
    夫が、女性にハイヒールを履かせた状態で性交(SEX)することに異常に興奮する性格であったことに対し、妻からの離婚請求が認められました。
    ▽判決性交(SEX)の度に靴を履かせる行為は、一般に行われる性的技巧等とは異なり、相当異様な性交方法であって、正常な性行為の範囲に属さない。異常な性交方法であっても、相手が了解して行われる場合は別として、相手方がかかる性交方法を極度に忌避嫌悪しているにもかかわらず、専ら自らの欲望満足のためにその行為を反復強行する行為には、帰責性が認められる。このような状況では、夫婦間に性的和合を期待することは不可能であるから、婚姻を継続し難い重大な事由があるものと認め、妻からの離婚請求を認容すべきである。
    ▽事案の概要
    夫が自慰行為にふけって妻との性行為(SEX)に応じようとしなかった事案で、妻からの離婚請求が認められました。
    ▽判決
    妻と夫の性交渉(SEX)は、入籍後5カ月内に2〜3回と極端に少なく、入籍後約1年半経過後はまったく性交渉がない状態であるのに、反面、夫はポルノ雑誌に異常な関心を示し、自慰行為をしているのであって、性生活に関する夫の態度は、正常な夫婦の性生活からすると異常というほかなく、夫婦間の婚姻生活はすでに破綻し、婚姻を継続し難い重大な事由がある。したがって、妻からの離婚請求は認められる。

    CASE.17こういう時 どうなる? こういう時どうなる?

    妻がわがまますぎるので離婚したい。認められるのでしょうか?

    離婚は夫婦の合意があれば問題なくできます。
    しかし、一方が離婚に合意しない場合、裁判離婚が出来るか否かが問題となります。

    裁判離婚については、
    民法で定める以下の離婚原因がなければ認められません

    ①配偶者に不貞行為があった場合
    ②配偶者から悪意で遺棄された場合(同居や生活費負担の拒否など)
    ③配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
    ④配偶者が極度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
    ⑤上記以外に、婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき

    ※離婚原因があったとしても、裁判所が一切の事情を考慮して離婚の継続を相当と認めるときには、離婚が認められないこともあります。

    わがまま=異常性格を「⑤婚姻を継続し難い重大な事由」として離婚することはできるでしょうか。

    「わがまま」の程度によりますが、通常は婚姻を継続しがたい重大な事由があるとは認められないでしょう。夫婦間でよく話し合いなさいと諭されるだけです。

    しかし、「わがまま」が限度を越えていたらどうでしょうか。
     ・妻の浪費癖が家計を圧迫する。
     ・妻が極度の潔癖症で、夫を不潔扱いするため夫には自宅に居場所がない。
     ・妻が、夫に対して稼ぎが少ないと常に不平不満ばかり言う。
    かかあ天下、妻の尻に敷かれているというレベル程度であればよいですが、行き過ぎれば顔を見るのも嫌になり、一緒に生活することは困難であるとして、婚姻を継続しがたい重大な事由に該当する場合もあるでしょう。

    CASE.18こういう時 どうなる? こういう時どうなる?

    夫がアルコール中毒なので離婚したい。認められるのでしょうか?

    離婚は夫婦の合意があれば問題なくできます。
    しかし、一方が離婚に合意しない場合、裁判離婚が出来るか否かが問題となります。

    裁判離婚については、
    民法で定める以下の離婚原因がなければ認められません

    ①配偶者に不貞行為があった場合
    ②配偶者から悪意で遺棄された場合(同居や生活費負担の拒否など)
    ③配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
    ④配偶者が極度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
    ⑤上記以外に、婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき

    ※離婚原因があったとしても、裁判所が一切の事情を考慮して離婚の継続を相当と認めるときには、離婚が認められないこともあります。

    アルコール中毒を原因として④精神病離婚の申立ては出来るのでしょうか。
    一般には、アルコール中毒は、健康な状態と高度な精神病の中間にあると言われています。
    精神病を原因とする離婚請求では、「強度の精神病」で「回復の見込みがない」場合に該当することが必要です。
    また、現在の医療水準からすれば、アルコール中毒は入院することによって回復する可能性も高いといえます。
    アルコール中毒だからという一事をもって、精神病離婚の申立てをすることは難しいでしょう。
    夫または妻がアルコール中毒のために、夫婦間の溝は深まり、家庭は崩壊し、夫婦間は回復の可能性のないほどに破綻しているという場合は、⑤婚姻を継続し難い重大な事由に該当し、離婚事由になると考えられています。
    しかし、一定期間の入院などの措置をとれば家庭生活を修復できる可能性がある場合には、離婚請求は認められないと思われます。

    CASE.19こういう時 どうなる? こういう時どうなる?

    姑の嫁いびりにもう耐えられません。離婚して慰謝料をもらいたいのですが可能でしょうか?

    離婚は夫婦の合意があれば問題なくできます。
    しかし、一方が離婚に合意しない場合、裁判離婚が出来るか否かが問題となります。

    裁判離婚については、
    民法で定める以下の離婚原因がなければ認められません

    ①配偶者に不貞行為があった場合
    ②配偶者から悪意で遺棄された場合(同居や生活費負担の拒否など)
    ③配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
    ④配偶者が極度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
    ⑤上記以外に、婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき

    ※離婚原因があったとしても、裁判所が一切の事情を考慮して離婚の継続を相当と認めるときには、離婚が認められないこともあります。

    親族とうまくいかないから離婚したいという嫁は、⑤を主張することになります。
    きっかけは舅や姑からの嫁いびりだったとしても、夫の対応のまずさで一気に恋心も冷めてしまうこともあり得ます。
    夫があくまで自分の親に加担するのであれば、いつまでたっても平行線で一緒に暮らすことは困難になり、婚姻を継続しがたい重大な事由となる場合もあります。


    では、舅、姑、義理の兄弟姉妹らが、離婚に積極的に加担した場合、彼らにも慰謝料を請求することはできるのでしょうか。

    離婚は、根本的には夫婦の自由意思によるものである以上、離婚に加担あるいは助長・刺激したからといって、その親族にも慰謝料請求できるとは限りません。
    しかし、親族が、本人同士の結婚継続の意思を妨げて、あえて離婚をさせてしまった場合には不法行為が成立し慰謝料請求される可能性もあり得ます。

    参考裁判例
    最判 昭和38.2.1

    ▽事案の概要
    義父と夫に、なまけ者とか家風に合わないといって、婚家に居づらくさせられ、ついに内縁関係解消(実質離婚)のやむなきに至り、夫と義父を相手に慰謝料請求の訴訟を起こした事案です。
    ▽判決
    嫁の追い出しに義父が、主導的役割を演じた、社会観念上許容さるべき限度をこえた不当な干渉をした、という理由で、連帯責任を認めました。

    CASE.20こういう時 どうなる? こういう時どうなる?

    妻が宗教活動にのめり込んでしまい、家事を一切やらずに宗教施設に入り浸るようになったので離婚したい。認められるのでしょうか?

    離婚は夫婦の合意があれば問題なくできます。
    しかし、一方が離婚に合意しない場合、裁判離婚が出来るか否かが問題となります。

    裁判離婚については、
    民法で定める以下の離婚原因がなければ認められません

    ①配偶者に不貞行為があった場合
    ②配偶者から悪意で遺棄された場合(同居や生活費負担の拒否など)
    ③配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
    ④配偶者が極度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
    ⑤上記以外に、婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき

    ※離婚原因があったとしても、裁判所が一切の事情を考慮して離婚の継続を相当と認めるときには、離婚が認められないこともあります。

    信仰および宗教活動の自由は、憲法で保障されています。
    信仰の違いそのものは離婚原因とはなりません。

    ただし、その活動が過剰で、日常の仕事や家事・育児がおろそかとなり、家庭崩壊しているような事情があると、改善する可能性が見込めないなら、離婚原因となり得ます。

    A宗教の信者(夫)であることをことさら隠してB宗教の信者(妻)と結婚したため、結局、信仰上の対立から離婚に至ったケースでは、異なる信者との結婚生活は、相互の深い理解がない限り結婚生活が極めて困難であることは明らかであり、婚約中にことさら特定の宗教を信仰していない風を装った夫に慰謝料支払いの責任があるとして判例もあります(東京高判昭和58.9.20)。

    参考

    過度の宗教活動を原因として離婚請求を認めた裁判例

    広島地判 平成5.6.28

    ▽事案の概要
    妻がA宗教の熱心な信者となり、2人の子供もA宗教の集会に連れて行ったり、世間一般におこなわれている慣習を拒絶するようなことを子供にも強いるようになったので、夫が妻に対してA宗教をやめるよう再三話し合ったが受け入れられず、6年半以上別居していた事案。
    ▽判決
    夫婦間においても信仰の自由は尊重されなければならない。しかし、信仰が信者の単なる内心にとどまらず、教義の実践を伴い、それが家庭生活や子供の養育に影響を与える場合は、夫婦協力義務の観点から一定の制約を受けることはやむを得ないところである。
    夫が妻に対してAの信仰及びその教義の実践を含む宗教活動の中止を求め、これを許そうとしなかったとしても、夫だけを責めることはできず、結局夫婦間の婚姻関係の破綻の主な責任が夫にあるということはできないとし、夫には婚姻を継続し難い重大な事由があるとして離婚を認めました。

    大阪高判 平成2.12.14

    ▽事案の概要
    結婚後8年たって妻がA宗教の熱心な信者となり、その教義に不信感と違和感を抱く夫が、別居8年で離婚請求した事案(同居の夫の母はB宗教信徒、2人の子どもも夫と同居)
    1審は、夫婦間の亀裂の原因が妻の信仰にあることを認めながら、夫が禁圧するばかりで寛容さを著しく欠いていたとし、妻が家事育児を特に疎かにした事はなく、夫がもっと弾力的な態度を取れば修復の可能性はあるとして請求を棄却。
    ▽判決
    控訴審は、離婚を認めました。
    理由としては、妻には夫婦円満のために宗教活動を自粛する気持ちは全くない。
    同居を再開しても日常生活に支障がでるのは必至で、夫が容認する事は到底期待できないとし、夫婦間でも信仰の自由の尊重は当然だが、共同生活を営む以上節度が必要で、夫に寛容さの足りない面がないとはいえないが、妻の行動は限度を越え、夫婦間の協力扶助義務に違反していると判断しました。

    CASE.21こういう時 どうなる? こういう時どうなる?

    約束した養育費の支払いを確保するためにはどうしたらよいでしょうか?

    約束した養育費は債権です。
    養育費の支払いは毎月払いとして定められることが多く、それが長期にわたる性質のものなので、途中で滞ることが少なくありません。
    また、離婚は貧困が大きな原因となっておこることも多く、支払う側に経済力が乏しい事例が多いので、不払いが起こりがちです。

    別居中の生活費である婚姻費用の分担や、離婚後の養育費の取り決めをしても、なかなか支払ってもらえないケースが協議離婚で約8割、調停で決まった場合でも3割強です(前者は厚生労働省の統計、後者は最高裁の調査による)。

    家庭裁判所に申し立てて養育費の履行を確保する方法

    1 履行勧告

    審判や家事調停で定められた義務の履行について、家庭裁判所は履行状況を調査し義務の履行を勧告することができます。

    法律上の強制力はありませんが、裁判所からの督促という効果からか、勧告があると約半数の人が何らかの支払に応じています(平成20年)。

    2 履行命令

    義務の履行に怠りがあるときは、家庭裁判所は義務者の陳述を聞き、履行の命令をします。正当な理由がなく命令に従わないときは過料の制裁があります。

    履行命令に従わない義務者には、10万円以下の過料に処せられる制度があります。ただし、履行命令が出される例は、少ないようです。

    3 家庭裁判所への寄託

    義務者の申し出があれば、権利者に代わって金銭の寄託を受けることができます。
    つまり、当事者同士の交信を避ける方法もあるのです。

    4 家庭裁判所の寄託命令・調停

    寄託を命じる審判があり、または寄託する調停が成立したときも同様です。

    5 強制執行

    審判や調停調書は判決と同様の効力を有しますから養育費の請求権により強制執行ができます。

    差し押さえる財産もなく、支払い義務者が行方不明になる事件では、住民票の追跡や仕事関係の調査により、まず所在や勤務先を探すことが必要になります。勤務先が判明すれば給料等について継続的な強制執行ができます。

    ※平成15年の民事執行法の改正によって、子どもの養育費や夫婦間の婚姻費用分担金などの場合で、毎月の分割払いの約束がある場合に、不履行があるときは、不履行の部分だけではなく、将来の部分についても給料等の差押えができ、また給料の2分の1まで差押ができるようになりました。

    平成16年4月1日に民事執行法が改正され、「扶養義務等に係る定期金債権を請求する場合の特例」が設けられました。
    改正前は、養育費等の滞納で給料等の差押えをする場合、滞納部分についてしか差押えはできませんでした。滞納の都度、差押え手続きを取ることは大変で、費用もばかになりません。
    改正によって、強制執行手続きを一回取るだけで、将来の分を含めて継続的な収入について差押えができるようになりました。この継続的な収入には、給料だけではなく、家賃、地代など継続的に支払われる収入も含みます。

    改正前は、給料等の差押えができるのは、上限が給料等から税金・社会保険料等を控除した額の4分の1まででしたが改正により2分の1までと拡大されました。また支払い義務者の収入が66万円超の場合は、半分の33万円超の額の全部を差押えできるようになりました。
    また、この改正で、養育費の不履行があるときは、一種の制裁金の支払いを命じること(間接強制)ができるようになりました。

    ※このような強制執行ができるのは、離婚前の婚姻費用、離婚後の養育費ですが、離婚時の財産分与、慰謝料はたとえ長期の分割払いの定めをしても適用にはなりません。

    給料の差押えについて

    給与については、通常は4分の3に相当する部分(この額が33万円を超えるときは33万円)は差押え禁止ですが、扶養義務等に係る定期金債権(定期的に長期に支払われる養育費など)については、「4分の3」が「2分の1」となります(民事執行法152条)。

    また、扶養義務等に係る定期金債権について、その一部に債務不履行があった場合には、確定期限が到来していない(将来支払われる予定になっている)ものについても執行ができます(同法151条の2)

    参考

    過度の宗教活動を原因として離婚請求を認めた裁判例

    広島地判 平成5.6.28

    ▽事案の概要
    妻がA宗教の熱心な信者となり、2人の子供もA宗教の集会に連れて行ったり、世間一般におこなわれている慣習を拒絶するようなことを子供にも強いるようになったので、夫が妻に対してA宗教をやめるよう再三話し合ったが受け入れられず、6年半以上別居していた事案。

    関連Q&A

    離婚後、相手の顔を見たくない場合、毎月の養育費の受け渡しで顔を合わせなく済ませる方法はありますか?

    養育費など離婚後の金銭のやりとりについて家庭裁判所が支払う側からお金を預かり、受け取る側に支払うという制度があります。「寄託制度」です。
    この制度を利用できるのは、調停・審判で決まった金銭で、それを決めた家庭裁判所に申し立てます。

    CASE.22こういう時 どうなる? こういう時どうなる?

    離婚直後にできた彼氏とすぐにでも結婚したい。問題ありませんか?

    時期による制約

    男性の場合は、離婚直後に別の相手と結婚することは問題ありませんが、
    女性の場合は、特定の場合を除いては、離婚後6ヵ月経たないと再婚できません。

    ※女性は、離婚した直後に再婚して子どもが生まれた場合、前の夫の子か再婚した夫の子かわからなくなるという問題が生じるため、制限が加えられています。

    例外

    ① 離婚した夫婦が再婚する場合
    ② 夫が3年以上生死不明により離婚した場合
    ③ 婚姻後の妊娠という医師の証明書がある場合

    相手による制約

    離婚によって他人同士になったとしても、離婚前に直系婚姻関係にあった者とは再婚できません。これは、男性にとっても女性にとっても適用されます。すなわち、夫または妻の連れ子との結婚はできませんし、夫または妻の親(義父母)との再婚も禁止されています。この禁止は道徳的な理由によるものです。

    CASE.23こういう時 どうなる? こういう時どうなる?

    相手方は養育費を放棄する旨の念書を書いたにもかかわらず、離婚後、養育費に関する請求書が届きました。支払わなければならないのでしょうか?

    支払わなければなりません。

    養育費を放棄する旨の念書は効力を持ちません。

    養育費を請求する権利は扶養を請求する権利です。
    民法881条が、「扶養を受ける権利は、これを処分することができない」と定めており、
    扶養を請求する権利は子供が親に対して持つものであって、親が勝手に放棄できるものではありません。
    判例でも、「未成年者の扶養義務者である父母の間でその一方が他方に対し養育費を請求しない旨の念書を差し入れたとしても、それが子の親権者として子を代理し、父に対して生ずる将来の扶養請求権の放棄であれば本条(民法881条)によりその効力がない事は明らかであり、・・・」(札幌高昭和43.12.19)として、親が勝手にした養育費の放棄を無効であるとしています。

    CASE.24こういう時 どうなる? こういう時どうなる?

    夫が蒸発したのですぐに再婚をしたいのですが、できますか?

    重婚は禁止されていますので(民法732条)、まずは再婚が可能な状態にしなければなりません。夫と離婚とするか、死別とすることになるでしょう。

    裁判離婚

    民法770条は、3号に裁判離婚の対象となるのは、配偶者の生死不明が3年以上明らかでないときと規定されています。
    3年という期間は最後の音信消息のあった時より起算されます。
    離婚判決が出されたら、その謄本を添えて市町村の役場へ行き、戸籍の訂正を行ってもらわなければなりません。その期間は、確定判決のあった日から10日以内です。

    これにより、再婚をすることが可能となります。

    なお、女性であれば、通常は離婚後6ヵ月経過しないと再婚することができません。
    しかし、これは産まれた子どもの父親が不明確にならないために加えられた制限ですので、夫が3年以上生死不明による離婚の場合には、例外的に、離婚後すぐの再婚が許されます。

    失踪宣告

    夫の生死が判明しない場合には、裁判離婚以外に、失踪宣告による方法もあります。
    失踪宣告とは、ある人が長い間生死不明になり、残された家族や、財産管理をめぐる利害の対立が生じる事が多いので、行方不明者を、7年経過後に死亡したものとみなして、種々の法律関係を清算する制度です(普通失踪)。
    又は戦争、船舶の沈没、震災などの死亡の原因となる危難に遭遇しその危難が去った後その生死が1年間明らかでないときにも、家庭裁判所は申立てにより失踪宣告をすることができます(特別失踪、危難失踪)

    ただし、失踪宣告は死亡したものとみなす制度であって、
    失踪宣告を受けた者が生存していること、または失踪宣告による死亡時とは異なる時に死亡したこと、失踪期間の起算点以後のある時点で生存していたことが判明し、本人ないし利害関係人より請求があった場合、家庭裁判所は失踪宣告を取り消さなければなりません(民法32条1項前段)。

    失踪宣告が取り消された場合、婚姻関係はどうなるのでしょうか。
    夫の失踪宣告を受けた元妻が、既に別の男性と再婚した後で、夫の生存が判明し失踪宣告が取り消された場合、元妻と再婚男性の双方が元夫の生存について善意出会った場合(生きていると知らなかった場合)には、後婚が前婚に優先すると解されます。

    他方、元妻か再婚男性の一方または双方が、元夫の生存について悪意出会った場合(生きていると知っていた場合)には、前婚が復活して、前婚と後婚との重婚状態となります。
    この場合、前婚については離婚原因(770条)を生じ、後婚については取消し原因(732・744条)を生じると解します。

    つまり、失踪宣告により夫を死亡したものとして再婚すると、その後夫がひょっこり戻ってきた場合に面倒な問題が生じることとなります。
    裁判離婚によって別れた方がよいでしょう。

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