• よくある男女トラブル婚姻・その他婚姻・その他トラブルこんいん・そのた

    婚姻の要件法律で婚姻を禁じられている必要条件(要件)を、一般的に婚姻障害(障碍)もしくは婚姻阻止要件と呼びます。
    婚姻を有効に成立させるためには婚姻障害のないことが要件となります。
  • 婚姻・その他のトラブル事例実際に起きたトラブル事例と結果について

    • CASE.1

      こういう時 どうなる?

      こういう時どうなる?

      同棲を解消する際に、家具や電化製品など2人で折半して購入したものは、どのように分割すればいいのでしょうか?

    • CASE.2

      こういう時 どうなる?

      こういう時どうなる?

      彼氏の浮気が原因で同棲を解消し別れることになりました。浮気をした彼氏に慰謝料請求できますか?

    • CASE.3

      こういう時 どうなる?

      こういう時どうなる?

      彼氏と別れることになったのだが、彼氏が持っている私の裸の写真を取り戻したい。どうすればよいでしょうか?

    • CASE.4

      こういう時 どうなる?

      こういう時どうなる?

      婚約して同棲していたにもかかわらず、彼から一方的に別れを告げられました。損害賠償をもらいたいわけではなくどうしても彼と結婚がしたい場合、無理やり結婚させることは可能でしょうか?

    • CASE.5

      こういう時 どうなる?

      こういう時どうなる?

      婚約して同棲していたにもかかわらず、彼の両親からの一方的な反対のために婚約が破棄されました。彼の両親に対して慰謝料請求することはできますか?

    • CASE.6

      こういう時 どうなる?

      こういう時どうなる?

      一方的に婚約を解消されました。結納金を返さなくてはならないのでしょうか?

    • CASE.7

      こういう時 どうなる?

      こういう時どうなる?

      ①彼が既婚者であることは知っていましたが、彼の「妻とは家庭内別居状態だ。じきに離婚する。離婚が成立したら結婚してくれ。」という言葉を信じて尽くしてきました。しかし、何年たっても離婚する様子がないので、婚約不履行で訴えることはできるでしょうか?

      ②逆に妻の立場としては、子供が生まれてから子供にばかり時間を取られて確かに夫のことは全然かまっていませんでした。しかし、だからと言って夫の不倫を許すことはできません。不倫相手に対して慰謝料請求することは可能でしょうか?

    • CASE.8

      こういう時 どうなる?

      こういう時どうなる?

      夫の不倫に気付いたので、不倫相手の女性に対し慰謝料請求をしようと相手を突き止めたところ、未成年の大学生であった場合、それでも慰謝料請求することは可能でしょうか?

    • CASE.9

      こういう時 どうなる?

      こういう時どうなる?

      かつて妻子持ちの上司と不倫を1年ほどしていましたが、既に別れてから4年が経過しており、その後一度も会っていません。しかし、突然彼の奥さんが私に対して不倫していたことについての損害賠償請求をしてきました。不倫に関する損害賠償の時効は3年と聞いたことがあるので、支払う必要はありませんよね?

    • CASE.10

      こういう時 どうなる?

      こういう時どうなる?

      結婚式まで挙げたのに、実は彼氏が既婚者だった。彼に慰謝料請求することはできますか?

    • CASE.11

      こういう時 どうなる?

      こういう時どうなる?

      内縁の夫が交通事故で死亡しました。彼には法律婚の妻がいましたが事実上の離婚状態で、私との内縁関係は10年にも及びます。内縁の妻である私は、加害者に対して損害賠償を請求することができるのでしょうか?

    • CASE.12

      こういう時 どうなる?

      こういう時どうなる?

      恋人との結婚を考えていたのに、許嫁と結婚するよう親に無理やり引き離されてしまいました。好きでもない人と結婚するくらいなら死んだ方がましと考え、恋人と駆け落ちをして心中することにしました。心中は罪になるのでしょうか?

    CASE.1こういう時 どうなる? こういう時どうなる?

    同棲を解消する際に、家具や電化製品など2人で折半して購入したものは、どのように分割すればいいのでしょうか?

    共有財産の分配が生じるのは、夫婦ないしそれに準ずる関係の男女(内縁・婚約関係)にあった者が別れるときです。

    同棲している場合、自分で買った物については自分の所有権が成立します。
    共同で購入したものについては、共有となります。

    先に自分が出て行って、相手の手元にある家具について、送ってくれ等と申し向ける場合。

    例えば、テレビとパソコンについて、同棲中に二人で半分ずつお金を出し合って購入していた場合に、あなたにはテレビをあげるからパソコンは私に送ってと主張することができるでしょうか?

    原則は、互いにお金を出し合って購入しているので、半分ずつの持分権を有します。
    つまり、テレビとパソコンの両方について、双方に持分権があるのであって、双方がひとつずつ所有権を有するわけではありません。つまり、一方について引き渡しを主張できるということはありません。

    持分が半分ずつであるのに加えて、これらのものに対する占有はどうでしょうか。
    占有とは物を支配している状態のことをいいます。
    2人で暮らしていた部屋にあったものなので、共同占有の状態です。勝手に持ち出してしまうことは、相手の占有を侵害することになるので窃盗罪(刑法235条)が成立するおそれがあります。


    しかし、同棲が解消となった以上、双方が共有して利用するということはほぼ不可能です。
    まずは話し合いで解決すべきでしょう。
    話し合いがまとまるのであれば、必ずしも財産的価値を平等にする必要はなく、一方がすべての物を放棄して相手に譲ることでもかまいません。
    注意しなければならないのは、まだ合鍵を持っているから、といって、相手の家から勝手に持ち出してしまうと、相手の占有権を侵害することになりますので窃盗罪(刑法235条)が成立するおそれがあります。

    話し合いに全く応じる様子がなく、相手方にすべての物があって、持分権を行使することもできない状態であれば、理論的には裁判を起こすほかないでしょう。
    しかし、同棲生活において共同して購入した物とは、金額的にたかが知れているのが通常なので、裁判費用ばかりが無駄にかかってしまうということもあります。

    CASE.2こういう時 どうなる? こういう時どうなる?

    彼氏の浮気が原因で同棲を解消し別れることになりました。浮気をした彼氏に慰謝料請求できますか?

    婚約か内縁関係が成立していなければ慰謝料請求は難しいでしょう。

    男女の交際に関して、慰謝料が請求できる場合というのは、婚約か内縁の破棄に限られるとするのが通常です。

    婚姻と異なり、婚約や内縁の事実があるか否かを証明する書類のようなものは通常ありません。
    2人の関係性によって判断が異なるでしょう。付き合って1カ月の恋人の場合と、10年以上一緒に暮らし、双方の法事にも出席するなど、周囲からも事実婚と認められているような場合では、「同棲中の恋人」といっても大きな差が有ります。


    内縁関係が認められる場合、内縁の不当破棄に対して損害賠償義務を生じさせるとするのが最高裁の判例です。
    また、婚約関係にあったのであれば、婚約破棄(婚約予約の不履行)についても、最高裁は損害賠償請求を認めています。

    正当な理由なくなされた婚約破棄については債務不履行(民法415条)となり、破棄者は損害賠償義務を負うこととなります。もしくは不法行為(民法709条)としてやはり損害賠償義務を負うこととなります。

    問題は、将来婚姻をなすべき合意がどの程度の確実性があれば法的保護に値するといえるかです。この法的保護に値する「確実な合意」の判断要素として、事案毎に個別検討が必要なようです。
    婚約は、「結婚しよう」「はい。結婚しましょう」という口約束だけでも成立します。そして、婚約も契約の一種ですので、一定の事実関係があればより契約として認められやすくなります。
    例えば、結納を済ませた、婚約指輪を渡した、式場の予約をした、互いの両親への挨拶をして食事会を済ませたなどの事情、つまり「公示性」のある場合です。ただし、判例の傾向としては、「公示性」は婚姻予約成立の真実の意思の推断のための一資料に過ぎないと考え不可欠の要素とはしていません。「確実な合意」をあまりに厳格に要求する立場ではないようです。
    内縁は、より個別の具体的状況によって判断します。

    婚約・内縁関係にあれば、同棲中の彼の浮気による破局は一方的な不当破棄・不貞行為といえるので、損害賠償請求をすることができます。
    婚約・内縁関係といえない、ただの恋人同士であれば、彼の浮気によって破局に至ったとしても損害賠償請求をすることは難しいでしょう。

    CASE.3こういう時 どうなる? こういう時どうなる?

    彼氏と別れることになったのだが、彼氏が持っている私の裸の写真を取り戻したい。どうすればよいでしょうか?

    強制的に写真やデータを取り上げたり、消去させる手段はありません。

    彼氏(元彼)と写真を撮った時点では、双方合意の上で裸を撮影したのであれば違法性はありません。
    その写真やデータを彼氏が持っているのであれば、所有権も占有権も彼氏にあるのであって、無理矢理にこちらへ渡すように要求することはできません。
    また、違法性の無い行為であって、あなたに何の権限もない以上、強制的に写真の焼却なりデータの消去を求めることもできません。

    あくまで、彼氏が任意に返却なり消去してくれるなりすることを期待するしかできないのです。
    もし、消去してくれるのであれば、自分の目の前で彼氏に消去してもらい、コピーデータの存在が確認できた場合には違約金を支払う旨の確認書を作成する方が良いでしょう。しかし、コピーデータの存在については絶対に無いと言い切れない以上不安は残ります。また、彼氏がこれに応じたとしても、確認書の実効性には疑問が残ります。

    インターネット上に一度さらされてしまえば、あっという間に拡散してしまいます。
    プライバシー侵害や名誉毀損を理由に損害賠償を求めることはできますが、あくまでも事後的な措置でしかありません。
    付き合っている間は別れがくるなどと考えたくないかもしれませんが、インターネットに出されて困るような写真はたとえ彼氏の求めであっても、撮らせるべきではありません。

    CASE.4こういう時 どうなる? こういう時どうなる?

    婚約して同棲していたにもかかわらず、彼から一方的に別れを告げられました。損害賠償をもらいたいわけではなくどうしても彼と結婚がしたい場合、無理やり結婚させることは可能でしょうか?

    婚約していたにもかかわらず、結婚してくれないという場合、どうすればよいのでしょうか。

    婚約履行請求の調停を申し立てるという手段があります。

    婚約履行請求調停事件とは、婚約はしたがこれを履行してくれない相手方に婚約の履行をしてくれるように話し合いを求める調停事件です。

     問題① 婚約が成立しているか否か
     問題② 婚約が成立しているとしてこれを履行させることが相当か
     問題③ 仮に、履行させるほうがよいと判断されたとしてもこれを強制的に履行させることができるか

    婚約関係が成立しているとして、いずれか一方がそれ以上結婚へ向けて進むのを拒否している場合、それを強制履行させることができるのでしょうか。
    憲法24条は、婚姻は、両性の合意によってのみ成立すると謳い、婚姻自由の原則を掲げています。結局、婚約の履行は、そのような民法上の請求権があるわけではなく、任意の履行に任されているということができます。

    婚約に至った場合、婚約者双方は将来結婚するという債務を負います。
    すなわち、婚約者は、互いに、将来の婚姻の実現に向かって努力すべき義務を負います。この義務は、婚約という契約から発生する義務です。しかし、いったん婚約をしたからといって、結婚についての自由を制限することはできません。

    つまり、一方に気持ちがなくなったにもかかわらず、結婚を強制させるということはできません。


    ただし、不当な破棄に対しては損害賠償を請求することが認められています。
    結婚は当事者の自由意思のみに基づいてなされなければならないため、一方的な解消それ自体を直ちに非難することはできません。婚約破棄の損害賠償責任を安易に認めてしまうと、損害賠償を科すという形で結果的に間接的に婚姻を強制してしまうことになってしまうため、慎重な判断が求められます。
    婚約を破棄することは原則として自由であるべきなので、損害賠償は、婚約を破棄したこと自体について発生するのではなく、その破棄の態様において社会的な相当性を欠くような場合に発生するのであり、それは、「不当な」破棄として不法行為としての損害賠償を認めるべきです。
    どのような場合が不当な破棄に該当するかは、事例により異なるものの、民法770条1号・2号が一応の目安となるようです。すなわち、相手方が婚約者以外の女性と性的関係に及んだばかりか事実上の同棲をするなどして、結局、婚約を破棄してきたような場合や、何らの説明もなく一方的に連絡を絶ったり行方不明になったりした場合です。あるいは、DVなどの事由も破棄の不当性を認める根拠となるでしょう。

    参考
    民法770条1号

    配偶者に不貞な行為があったとき。

    民法770条2号

    配偶者から悪意で遺棄されたとき。

    参考裁判例
    最判 昭和38.9.5

    長期にわたり肉体関係をもっていたにもかかわらず婚約を破棄された場合に損害賠償を認めた事案。

    徳島地判 昭和57.6.21

    挙式の1週間前の破棄が不法行為を形成するとされた事案。

    損害賠償の範囲について

    婚約を不当に破棄されたことによる物質的損害と精神的損害

    物質的損害としては、

    嫁入り道具

    婚約のための準備の品物である、嫁入り道具などは一応対象となりますが、その代全額を返還させるのか否かは問題となります。なぜならば、その代金相当額の品物は確保されているからです。しかし、ケチがついた品物を使う気にはなれないものです。個々の品物について個別に判断することになります。

    結納

    結納の段階にまで至っていれば、結納は将来の婚姻を前提としての贈与であるので、これについては返還請求ができますが、それは損害賠償としてではなく不当利得として請求することとなります。
    ただし、結納を送った側の不当破棄によるときは、信義則上返還請求を認めないというのが判例の大勢です。

    結婚式場やドレスレンタルのキャンセル料

    会場の解約手数料など、結婚を前提にしたため無駄になった支出については損害賠償請求できます。

    婚約中の遊興飲食費、旅行費、花嫁修業として通った料理教室の費用など

    遊興飲食や旅行の費用、料理教室の費用などは、その時点ではサービスを受けた対価です。賠償請求の対象とすることは困難でしょう。

    CASE.5こういう時 どうなる? こういう時どうなる?

    婚約して同棲していたにもかかわらず、彼の両親からの一方的な反対のために婚約が破棄されました。彼の両親に対して慰謝料請求することはできますか?

    婚約の不当な破棄については損害賠償が発生します。

    婚約者の親による不当な破棄について、親も共同不法行為者として被告とされ、共同不法行為責任が認められることがあります。
    ただし、親の干渉が不法行為となり、婚約者と共同不法行為の責任を負うためには、単に反対する程度では足りず、積極的な干渉、妨害の域に達することが必要です。

    参考裁判例
    徳島地判 昭和57.6.21

    ▽事案の概要
    原告(女性)と被告(男性)は仲人によって紹介された20日後、正式に見合いをし、約2週間で結納を交わし婚約、約3カ月後に結婚式を行うことを約束し、原告は結婚式の1カ月前に勤務先を退職。その間被告は原告の嫁入り道具を種々指示し、原告は買い求めて準備したが、結婚式の約1週間前に被告は何の理由も告げずに、仲人を通じ電話一本で本件婚約を破棄。
    態度が強硬だった被告の母親も共同不法行為者として訴えられました。
    ▽慰謝料認定額(請求額)
    400万円(400万円)
    ▽算定の理由
    婚約を、その結婚式の直前、諸準備がすべて整い、嫁入道具について被告自らあれこれ要求しこれを原告にのませていたのに、嫁入り道具が運び込まれる前日に、かねて原告の容姿等に抱いていた不満に抗しきれず、他人を介し、電話一本で断定的に破棄したことの他各事実を考慮すると、両者の間に性的交渉がなかったこと、婚約成立までの日数が短かったことなどに配慮しても、認定額が相当である。とされました。

    大阪地判 昭和58.3.28

    ▽事案の概要
    原告(女性)と被告(男性)は同じ会社の同僚。原告と被告は結婚を前提にして交際し、被告は同和地区出身であることを告白した原告に同情しましたが、被告の父はそれを理由に結婚に対し猛烈に反対。その後被告の両親には知らせず原告方で結納の儀式をしましたが、再度被告は父から激しく反対され、次第に被告は原告との婚姻が重荷になって婚約解消を申し入れました。被告の両親も共同不法行為者として訴えられました。
    ▽慰謝料認定額(請求額)
    500万円(1,000万円)
    弁護士費用50万円(100万円)
    ▽算定の理由
    原告は、いわれなき世のしがらみの因習を被告に理解してもらって婚約したにもかかわらず、被差別部落の出身であることを理由に被告の父親等から婚姻に激しく反対され、その結果、被告にも裏切られたもので、被った精神的苦痛も痛烈だったと察せられること、さらに、本件がもとで原告が退職せざるを得なかったこと、その他諸般の事情を考慮。

    仙台高裁 平成20.8.26

    ▽事案の概要
    2007年2月に婚約、しかし5月に男性が「1人の方が気楽。大変勝手なのですがおつきあいはやめさせてください」とメールを送信して、一方的に婚約を破棄。
    女性が慰謝料請求などを求めるメールを送ると、男性は暴力団員の存在をほのめかすなどの脅迫メールを送った事案。
    ▽慰謝料認定額(請求額)
    30万円(200万円)
    ▽判決
    1審の盛岡地裁では請求棄却の判決となりましたが、控訴審では1審を取消し、男性に30万円の支払いを命じました。

    CASE.6こういう時 どうなる? こういう時どうなる?

    一方的に婚約を解消されました。結納金を返さなくてはならないのでしょうか?

    一般的に、結納金は婚姻の成立を前提とした贈与ですから、婚約が解消された場合には結納を返すのが原則です。
    しかし、婚約解消に至った理由のある側からの返還の要求については、信義則違反として認められないとされるのが通常です(民法1条2項)。

    ① 婚約がどちらにも落ち度がなく、合意によって解消された場合

    結納金を返還すべき義務があります。

    参考裁判例
    大審院 大正6.2.28

    結納は、他日婚約が成立することを予想して授受する一種の贈与であって、婚約が後になって、当事者双方の合意の上、解除された場合には、当然その効力を失い、その給付を受けた者は、その目的物を相手方に返還すべき義務がある。

    ② 結納を与えた側が正当事由なく婚約破棄をした場合、又は、結納を与えた側が婚約破棄される原因を作った場合

    結納金を返還する義務はありません。

    参考裁判例
    大阪地裁 昭和41.1.18

    婚約予約が、合意による解除せられた場合などは別格として、破約の原因が専ら結納を交付した側にある場合においては、破約に対する制裁として婚約者は結納の返還を請求する権利を有しないとすることが、信義誠実の原則などに照らし結納を授受した当時における当事者の意思に合致するものである。

    大阪地裁 昭和43.1.29

    結納の授与者が自らの有責事由によって婚約不成立の事態を招来したり、あるいは正当な事由もないのに婚約を破棄した場合には、信義則上、授与者はその返還を求め得ないと解すべきである。

    ③ 結納を受け取った側にも婚約解消の一端があった場合

    結納者の責任が結納受領者の責任より重くないときに限り結納等の返還を許し、より重いときはその返還を請求することはできません。

    参考裁判例
    福岡地裁小倉支部 昭和48.2.26

    結納者及び結納受領者双方に婚約解消についての責任が存するときは、信義則上ないし権利濫用の法理からして、結納者の責任が結納受領者の責任より重くないときに限り結納等の返還を許し、より重いときはその返還を請求することはできないと解するべきである。

    CASE.7こういう時 どうなる? こういう時どうなる?

    ①彼が既婚者であることは知っていましたが、彼の「妻とは家庭内別居状態だ。じきに離婚する。離婚が成立したら結婚してくれ。」という言葉を信じて尽くしてきました。しかし、何年たっても離婚する様子がないので、婚約不履行で訴えることはできるでしょうか?

    不倫相手との婚約は無効です。

    配偶者のある者が「妻と離婚して、あなたと結婚する」と約束しても、その約束は公序良俗に反して無効です(民法90条)。法律は、婚姻関係を保護しますが、婚姻外関係、すなわち、不倫関係を保護しません。
    妻が不倫を知っていても、あるいは、第三者に、公然と、交際を知らせていても、配偶者あるものが他に愛人を持つことは、社会の公の秩序、善良な風俗に反するとして、同様に保護に値しません。

    たとえ、不倫関係の男女が、互いの両親へのあいさつを済ませていても、婚約指輪をもらっていたとしても、婚約は無効です。婚約不履行で慰謝料請求をすることはできません。
    婚約不履行で訴えることができないばかりか、不倫相手の男性の配偶者から不法行為(民法709条)に基づく損害賠償請求をされるおそれがあります。

    ただし、男性側の違法性が著しく大きい場合には、愛人から男性に対して慰謝料請求が認められた事案があります。

    参考裁判例
    最判 昭和44.9.26

    「女性が、その情交関係を結んだ動機が、主として男性の詐言を信じたことに原因している場合、男性側の情交関係を結んだ動機、その詐言の内容、程度及びそれについて女性がどのように思っていたか等を考慮し、情交関係を引き起こした原因が、主として男性にあり、男性側の違法性が著しく大きいときは、女性に対する貞操等の侵害を理由とする慰謝料請求は許される。」

    女性が19歳で、異性に接した経験がなく、思慮不十分であるのに付け込み、妻子ある上司の男性が積極的に接触。嘘を言い、肉体関係を持ち、離婚して女性と結婚すると誤信させ、女性が妊娠し出産し、捨てられたケースでは、女性から男性に対する60万円の慰謝料請求が認められました。

    CASE.7こういう時 どうなる? こういう時どうなる?

    ②逆に妻の立場としては、子供が生まれてから子供にばかり時間を取られて確かに夫のことは全然かまっていませんでした。しかし、だからと言って夫の不倫を許すことはできません。不倫相手に対して慰謝料請求することは可能でしょうか?

    不法行為に基づく損害賠償請求が成立する可能性があります。

    妻は夫と不倫相手の2人によって精神的に傷つけられたことになりますので、夫と不倫相手につき共同不法行為が成立し、2人は、妻に対し連帯して損害を賠償する義務を負います(民法719条)。

    浮気相手女性の言い分

    彼と不倫関係になったのは、彼が奥さんとうまくいっていないからと、私に対して猛烈にアプローチしてきたから仕方なく付き合ってあげていただけで、私が誘惑したわけではありません。奥さんから訴えられたとしても私の責任じゃないのだから、慰謝料を支払う必要はありませんよね。といった趣旨の主張をする人が多くいます。

    参考裁判例
    最判 昭和54.3.30

    夫婦の一方と肉体関係を持った第三者は、故意(相手に配偶者がいることを知っていた場合)または過失(相手に配偶者がいることを知らなかったが、容易に知ることが出来た場合)がある限り、誘惑して肉体関係を持ったかどうか、自然の愛情によったかに拘わらず、損害賠償義務があります。

    彼の「妻とはうまくいっていない」との言葉が真実であるとしても、彼と妻が同居している限り、婚姻生活は完全には破綻しているとはいえません。したがって、不倫相手の女性に責任があるとの判決になるでしょう。法律では、婚姻関係にある妻は保護されますが、婚姻関係にない愛人は保護されないのです。
    慰謝料の金額は、交際において彼と愛人のどちらが積極的であったか、交際の状況、愛人が原因で彼の家庭が破綻した(離婚)か否かで異なってきます。慰謝料は、彼が離婚した場合は150万円〜200万円くらい、離婚しない場合は50万〜200万円くらいでしょう。

    通常、愛人の方にも、「奥さんが、だんなを大事にしていなかったのが原因だ」「彼に積極的に押し切られて付き合うことになった」などの言い分があります。しかし、それを露骨に言うと、訴訟に発展することが多いです。不倫によって妻の心に傷をつけたことは確かなので、誠意をもって謝罪する態度も重要でしょう。
    この場合、愛人と彼は、共同不法行為者となり、妻に対し(不真正)連帯責任を負います(民法719条)。
    彼が妻に慰謝料を支払うと、その金額だけ妻は愛人に慰謝料を請求できなくなります。
    彼と愛人の支払額は折半である必要はありません。責任分担を愛人と彼の間で話し合って決めることはよくあるようです。

    ただし、夫が相手の女性に対して関係をしつこく迫った等の特別な事情がある場合、妻からの相手の女性に対する慰謝料請求は認められず、あるいは認められたとしても非常に低い金額になることがあります。

    参考裁判例

    妻の夫と不貞行為をした女性に対する慰謝料請求権の行使が、権利濫用と判断された事例

    最判 平成8.8.18

    「女性が配偶者のいる男との関係に至ったのは、男が「妻との夫婦関係は冷めており、平成3年1月に義兄の結婚式が終わったら離婚する」等話していたのを信じて、肉体関係を持つようになったものだが、将来結婚できるものと考えたのは男の発言だけではなく、妻が女性の経営する居酒屋に客として訪れ、夫婦関係についての愚痴をこぼし、平成3年1月には離婚するつもりである旨話したことが原因を成していました。

    判決は、「仮に妻が不倫相手の女性に対してなにがしかの損害賠償請求権を有するとしても、これを行使することは、信義誠実の原則に反し権利の濫用として許されない」と判示しました。

    関連Q&A

    不倫相手に対して、法的に夫に金輪際会うことを禁じることはできるでしょうか?

    できません。不倫相手が夫と会うこと自体が違法になるとはいえません。

    参考裁判例
    大阪地判 平成11.3.31

    X(妻)が、別居中の夫(A)と不倫相手(Y)に対して、(1)1200万円の慰謝料、(2)不倫相手の女性は、夫と妻との婚姻が継続している間、夫と同棲又は会ってはならないことを求める本件訴訟を提起しました。
    (1)について、300万円の慰謝料を認めた
    (2)について、「Xは、YがAと会うことについての差止めも求めているが、YがAと会うこと自体が違法になるとは到底いえないから、少なくともこの部分については請求に理由がないことは明らかである。」
    同棲の差止めについて、「差止めは、相手方の行動の事前かつ直接の禁止という強力な効果をもたらすものであるから、これが認められるについては、事後の金銭賠償によってはXの保護として十分でなく事前の直接抑制が必要といえるだけの特別な事情のあることが必要である。・・・今後YとAとが同棲することによって、XとAとの平穏な婚姻生活が害されるといった直接的かつ具体的な損害が生じるということにはならない。同棲によって侵害されるのはもっぱらXの精神的な平穏というほかない。このような精神的損害については、同棲が不法行為の要件を備える場合には損害賠償によって填補されるべきものであり、これを超えて差止請求まで」は認められないと判断されました。

    夫が妻子を捨てて愛人のところで同棲を始めたせいで、子供は父親の愛情を受けることができませんでした。
    子供からも愛人に対して慰謝料請求することができますか?

    愛人が妻子のもとを去った配偶者と同棲した結果、その子が父親から愛情を注がれ、その監護、養育を受けることがなくなったとしても、特段の事情がない限り、その子の不利益とその女性(愛人)の行為との間には相当因果関係がないため、当該女性はその未成年の子に対して不法行為責任を負いません(最判昭和54.3.30)。

    夫が不倫をしていたので、不倫相手に慰謝料請求をして50万円の支払いを受けました。
    しかし、支払いを受けてしばらくしたら、どうやらまた夫は同じ相手と不倫を再開したようです。許せないので、もう一度慰謝料請求をしたいのですが、できるのでしょうか?

    既に支払を受けた50万円については、過去の不倫についての慰謝料であって、その分の損害についての賠償は完了しています。過去の不倫について追加の請求することはできません。しかし、新たに侵害を受けたというのであれば、新たな請求をすることができます。
    1回目の不倫を清算する際に、夫婦関係が破綻してはおらず、その後夫婦で同居を続けるなどしていた場合、その後も不倫関係を継続することは、妻には新たな損害が発生したことになるので、不倫相手に対して再度の慰謝料請求をすることができます。
    1回目の不倫を清算する際に、既に家庭が破綻していた場合、その後不倫関係を続けても、新たな損害が生じているとはいえないので、さらに慰謝料請求をすることは出来ません。

    参考裁判例
    広島高判 平成19.4.17

    妻から夫及び夫の不貞行為の相手方に対する慰謝料請求事件(前訴)の確定判決がある場合、前訴は、不貞行為及びその結果婚姻関係が破綻したことによる精神的苦痛に対する慰謝料を請求するものであり、離婚によって妻が被る精神的苦痛については賠償の対象とされていないから、前訴の訴訟物と妻からの離婚請求に伴う夫及び夫の不貞行為の相手方に対する慰謝料請求(後訴)の訴訟物とは異なり、前訴の既判力は後訴に及びません。
    したがって、一審原告が本訴において請求することができるのは、完全に形骸化した婚姻関係を法的に解消したことによって被る新たな精神的損害のみであるところ、上記の事情からすると、一審原告に新たな精神的損害が生じたと認めることはできません。

    東京地判 平成17.3.30 不貞行為の慰謝料について

    不貞行為の相手方に対する損害賠償請求の検討においては、そもそも、婚姻関係の平穏は、第一次的には婚姻契約に基づく配偶者相互間の守操義務・協力義務によって維持されるべきものであり、この義務は配偶者以外の第三者の負担する婚姻秩序尊重義務とでもいうべき一般的義務とは質的に異なるから、不貞または
    は婚姻関係破綻の主たる責任は、原則として不貞を働いた配偶者にあり、不貞の相手方に対する責任は副次的なものであるというべきである。
    そして、慰謝料の具体的な金額の判断において斟酌すべき事情としては、当事者双方の社会的地位、不貞行為当事者の積極性の強弱、不貞行為前後における夫婦間の親疎の状況、不貞行為の回数・期間・同棲の有無などの態様、婚姻関係が破綻したか否か等を総合的に考慮して判断すべきである。
    との判断を示しました。

    横浜地判 平成元年8.30

    肉体関係の発端、継続が男性の暴行脅迫である場合、妻から相手方の女性に対する慰謝料請求を否定しました。

    横浜地判 昭和61.12.25

    妻から、夫の不貞の相手方である愛人に対する慰謝料は低額にすべきとして、請求額1000万円に対し、150万円を認めました。

    東京地判 平成4.12.10

    妻から、夫の不貞の相手方である愛人に対する慰謝料請求事件において、夫が不倫関係において主導的役割をはたしていたので低額にすべきとして、請求額500万円に対し、50万円を認めました。

    東京高判 昭和60.11.20

    夫から、配偶者(妻)の不貞の相手方である第三者(男性)に対する慰謝料請求事件において、男性が自己の地位や相手方の弱点を利用するなど悪質な手段を用いて相手方の意思決定を拘束したような場合でない限り、不貞あるいは婚約破綻についての主たる責任は不貞を行った配偶者にあり、第三者の責任は副次的なものとみるべきで慰謝料額を減額して200万円を認容しました。

    東京地判 昭和58.10.3

    妻から、夫の不貞の相手方である愛人に対する慰謝料請求事件において、この不貞が原因で夫婦は離婚はしていないが、冷え切っているとし、請求額1000万円に対し、200万円を認めました。

    最判 昭和54.3.30

    夫婦の一方と肉体関係を持った第三者は、故意または過失がある限り、誘惑して肉体関係を持ったかどうか、自然の愛情によったかに拘わらず、損害賠償義務があると判決しました。

    CASE.8こういう時 どうなる? こういう時どうなる?

    夫の不倫に気付いたので、不倫相手の女性に対して慰謝料請求をしようと相手を突き止めたところ、未成年の大学生であった場合、それでも慰謝料請求することは可能でしょうか?

    損害賠償請求をすることが可能です。

    不倫(=不貞行為)は不法行為となりますので、損害賠償請求をすることは可能です。
    未成年者であっても責任能力はあるとみなされます。
    しかし、未成年の学生に支払い能力はないでしょうから、無い袖は振れず、実際に支払を受けるのは困難です。

    では、相手の親に対して請求することは可能でしょうか。
    相手が未成年者だからといって親に支払義務があるわけではありません。
    親の監督義務違反ということをもって損害賠償請求をする方法もなくはないですが、立証は極めて困難です。

    金銭的な賠償は未成年者から得ることは期待できません。金銭面での解決を望むのであれば、配偶者に対する損害賠償請求を行って配偶者からの支払いを受けるべきでしょう。

    CASE.9こういう時 どうなる? こういう時どうなる?

    かつて妻子持ちの上司と不倫を1年ほどしていましたが、既に別れてから4年が経過しており、その後一度も会っていません。しかし、突然彼の奥さんが私に対して不倫していたことについての損害賠償請求をしていきました。不倫に関する損害賠償の時効は3年と聞いたことがあるので、支払う必要はありませんよね?

    不倫相手の配偶者に対する損害賠償請求を負います。

    不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効は、不法行為の損害および相手(加害者)を知った時から3年、不法行為のときから20年です。

    不倫相手と別れてから3年が経過すれば消滅時効となるわけではありません。
    不倫相手の配偶者が、不倫の事実と不倫相手を知った時から3年が経過した時が時効成立となるのです。

    不倫続行中には、奥さんが全くその事実に気付いていなかったのに、例えば、別れて10年が経過した後で、昔の写真や手紙、メールを見つけて夫の不倫の事実と不倫相手を知ったとしたら、奥さんは不倫相手に損害賠償請求をすることが可能です。
    別れてから10年経過していても突然損害賠償請求をされる可能性があるということです。

    安心できるのは、別れてから20年以上経っている場合です。

    CASE.10こういう時 どうなる? こういう時どうなる?

    結婚式まで挙げたのに、実は彼氏が既婚者だった。彼に慰謝料請求することはできますか?

    既婚者と結婚の約束をしていたとしても、不倫は公序良俗に反するものであって保護の対象ではありません。
    結婚の約束をしていたのに、籍を入れられないことに不満を抱いても、相手に慰謝料請求することはできず、むしろ不倫相手方の配偶者から慰謝料を請求されてしまいます。
    しかし、既婚者であるということを知らなかった場合についても不倫相手には慰謝料を支払う義務があるのでしょうか?

    不法行為責任を負うのは故意・過失がある場合ですので、既婚者であることを過失なく知らなかったのであれば、慰謝料を支払う義務はありません。

    では、逆に、女性が男性に対して未婚者であると騙されていたことについて慰謝料の請求をすることはできるでしょうか?結婚式を挙げる程の徹底ぶりであれば、彼が既婚者であることに気が付かなくても仕方ないといえるでしょう。


    普通は、既婚を隠して遊ばれたとしても、それだけで高額の慰謝料を支払わせることは難しいです。
    男性は、「本当に結婚しようとしていた」「妻と別れるつもりだった」と言い訳する可能性もあります。

    しかし、既婚者であることを隠して、結婚式まで挙げたような場合であれば、場合によっては高額の慰謝料が予想されます。

    男性が既婚であることを隠して、女性と婚約し、結納や結婚式の席には代行業者に依頼した偽の両親を手配した事案について、1000万円の損害賠償が認められた例があります。

    CASE.11こういう時 どうなる? こういう時どうなる?

    内縁の夫が交通事故で死亡しました。彼には法律婚の妻がいましたが事実上の離婚状態で、私との内縁関係は10年にも及びます。内縁の妻である私は、加害者に対して損害賠償を請求することができるのでしょうか?

    通常の場合、自動車損害賠償保障法3条により、運行供用者(自己のために自動車を運行の用に供する者)は、①自己および運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかったこと、③被害者または運転者以外の第三者に過失のあったこと、③自動車に構造上の欠陥または機能の障害がなかったこと、の3点をすべて立証しない限り、損害賠償責任を免れることはできません。また、運行供用者の損害賠償責任については、このほか民法の規定が適用されます(同法4条)。

    死亡した者の配偶者であれば、精神的損害について慰謝料請求が可能(民法710条)であること、生命侵害の場合には独自の損害賠償請求が出来ること(民法711条)が規定されています。
    では、これらは、内縁の妻であっても同様に認められるのでしょうか?

    内縁関係について法的保護を与えており、裁判所は、生命侵害による慰謝料の請求について、民法711条を類推して、おおむねこれを認めています。


    ただし、【CASE.11】は、重婚的内縁関係です。
    重婚的内縁関係が通常の内縁関係と同様に保護されるためには、
    ①法律上の婚姻関係がその実質を失い、事実上の離婚状態になっていること
    ②第二の異性(この事例でのあなた)との間に実質を伴った内縁関係が社会的事実として成立していること
    ③第二の異性が、相手に法律上の配偶者があることを知らず、あるいはこれを知っていてもそれとの離婚が近く実現し、自分が正式の配偶者になれるものと信じていたこと
    の3つの要件が必要とされています。

    重婚的内縁関係にある内縁の配偶者からの損害賠償について、裁判所の判断は分かれていますが、損害賠償請求を認めた事案もあります。

    参考裁判例
    東京地判 昭和43.12.10

    法律上の婚姻に準ずる内縁関係の場合に準じて保護されるとして、内縁の夫が交通事故で死亡した事件で、内縁の妻に損害賠償を認めました。

    ただし、扶養請求権の侵害による損害賠償請求については、これを肯定する判決がありますが、扶養喪失の額を算定する際に、戸籍上の妻子が存在することを斟酌して、相当の減額がなされているようです

    CASE.12こういう時 どうなる? こういう時どうなる?

    恋人との結婚を考えていたのに、許嫁と結婚するよう親に無理やり引き離されてしまいました。好きでもない人と結婚するくらいなら死んだ方がましと考え、恋人と駆け落ちをして心中することにしました。心中は罪になるのでしょうか?

    心中とは、情死ともよばれ、相愛の男女がこの世で結ばれないことから、来世で結ばれることを願って双方の合意の上で一緒に自殺することをいいました。
    転じて、複数の親しい関係の者たちが合意の上で一緒に自殺すること(一家心中)、さらに、相手を殺し自分も後追いする無理心中、インターネットの自殺サイト等で知り合った見ず知らずの複数の他人が一緒に集団自殺するネット心中などについても、心中という文言が使われるようになりました。

    自ら生命を断つことは倫理的観点から決して望ましいことではありません。
    しかし、かつて遊郭の遊女に多く行われており、心中は、相愛の男女がその会いの変わらぬ証として行うため、これを賛美する風潮も現れ、心中事件が増加して社会問題となりました。
    江戸幕府は、「相対死」と呼び、心中した者について不義密通の罪人扱いとしました。
    両者が死んだ場合は弔うことが許されず、
    一方が死に、一方が生き残った場合には、生き残った者を死罪とし、両者とも生き残った場合には、3日間さらされた後、非人身分に落としました。


    現在は、自殺はその未遂も含めて処罰されることはありません。
    しかし、他人に自殺を唆したり、助けたりすることは禁止されています(刑法202条)。

    心中がその目的を遂げ、両者が死亡した場合には、死者が罰せられることはありません。
    しかし、一方が生き残った場合には、たとえ自分も一緒に死ぬつもりであり、相手が死について同意していたとしても、自殺関与罪(刑法202条)に問われます。

    相手を殺してから自分も後追いしようとし、相手が死ぬことを同意していないにもかかわらず無理やり行ういわゆる無理心中の場合はどうでしょうか。
    相手を殺した後で自分が死にきれずに生き残ったというときには、自殺関与罪ではなく殺人罪(刑法199条)になります。

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